世界3位の記録もあり得る、台風「コイヌ」が吹かせた台湾史上もっとも強い風
4日(水)、「コイヌ」と名付けられた台風が台湾南部を通過しました。
台風には正式な国際名が付けられますが、この名前は「コイヌ座」が由来で、日本が名付け親です。
その幼気な名前が、いたく不釣り合いなほど、一時「大型で非常に強い」勢力に発達しました。
台湾史上もっとも強い風
この凶暴なコイヌが、台湾の離島・蘭嶼(ランユ―)に吹かせた最大瞬間風速は、秒速95.2メートルに及び、台湾の126年間にわたる統計史上最強の強風となりました。
その記録が出た後、台湾気象局はFacebookにこのように投稿しています。
「強風で風速計が壊れてしまって、それ以降の風は計測できません。蘭嶼に平安が訪れるよう祈ります。」
コイヌによる台湾での死者は1人、300人以上がけがをしたと伝えられています。
アジア記録、かつ世界第3位の強風か
現在の世界1位の強風記録は、1996年にサイクロン・オリビアによって豪州バロー島で観測された113メートルです。2位は1934年に米国ニューハンプシャー州ワシントン山で記録された103メートルです。
ですから、この95.2メートルの記録が検証され、国際的にも正式なものとなれば、アジアの観測史上1位、かつ世界の統計史上3位の記録となります。
風をイメージすると…
ところで、95.2メートルとはどれほどの強さなのでしょうか。
秒速95.2メートルは、時速に直すとおよそ340キロになります。東海道新幹線の最高営業速度は300キロ弱ともいわれますから、目の前を走りぬける新幹線によって煽られるあの風よりもずっと強いことになります。
また竜巻の風力階級に当てはめてみても、最強カテゴリーに匹敵するような強さに相当します。このレベルの風が吹けば、強い骨組みの家も吹き飛ばされてしまいます。
偶然過ぎる“952”
最後に1つ。
95.2メートルの強風が観測されたとき、興味深い偶然が重なっていました。
それは観測時刻が午後9時52分だったこと。
そして観測場所の郵便番号が952だったこと。
実に話題の尽きない台風です。