ランチで食べたのに?仕事帰りにまた寄りたくなる!東京オフィス街の町中華【中国屋台十八番】
東京の中央区八丁堀エリアは、東京駅から徒歩15分ほどの都会の中心に位置するオフィス街。高層ビルや飲食店が数多く並び、週末よりも平日に賑わいを見せる。
そんな都会のオフィス街で長年に渡り、働く人々の胃袋を満たす町中華が中央区新川に店を構える平成4年創業『中国屋台 十八番』だ。
『十八番』は初代が職人と共に、昭和35年に浅草寿町の下町に一号店を立ち上げた。後に西浅草(オープン後の現在は親族が経営)、秋葉原、八丁堀(現在も営業中)、浅草橋、そして新川にも店を出した。そこから更に暖簾分けで広まっていった。
賄い料理だった『にらそば』
たっぷりのニラと豚バラ肉の旨味が詰まった『にらそば』は町中華でお馴染みの定番メニュー。浅草寿町の開業当時、賄いとして考案した料理がメニューに加わり誕生した。当時は他の町中華でにらそばを出す店は無かった。『にらそば』のルーツとも言えそうだ。
『にらそば』に玉子を入れたとくにらそばはボリューム感が増した欲張りな一杯だ。
『製麵十八番』の麵を使用
中華そばは浅草の製麺所『製麵十八番』の麵を使用。表面がつるっとなめらかで中細のストレート麵は十八番の料理のために作られている。製麵所は親族が経営している。
不動の人気チャーハン
中国屋台十八番の不動の人気メニューの一つチャーハン。ランチでも、夜の飲みのシメにも注文が多い料理だ。焼豚、人参、筍を正油ダレで3時間ほど煮込んだ店独自のかやくを使用している。普通サイズでも大盛に感じるようなボリュームだが、大サイズ(1200円)はシェアしても十分な量がある。
日式中華の定番と言えば焼き餃子
日式中華=町中華に欠かせない料理が定番の焼き餃子ではないだろうか。
こんがりと丁寧な焼き色の餃子は、食べる前から美味しさが伝わってくる。餃子の焼きが丁寧な店のほとんどにハズレはない。餃子の皮も製麵所十八番のものを使用している。
焼き餃子以外に水餃子やスープ餃子もある。餃子は4ケ以上から1個120円で追加でき、食べたい量や人数に応じて注文できる。
餃子と言えばやっぱりビール
餃子と言えばやっぱりビールを連想する人も多いと思う。『ギョービー』と呼ばれることもあるが、町中華には昔ながらの作り方である熱処理の瓶ビールがよく似合う。渋みや苦みが強くアルコール度数はやや低めの深みのある味。他にも生ビールやホワイトビール、紹興酒、ワイン、日本酒、サワーや焼酎などドリンクメニューも広い客層に合わせたラインナップになっている。
町中華では珍しい豊富なメニュー数
『早くて安くて旨い』が町中華の基本。食材を無駄なく活用した料理構成の店がほとんどだ。創業者が新川店を開店させる際に、酒のつまみになる一品料理を提供したいと発案しメニュー数が多くなった。現在も客の好みや要望に応じた料理を追加していき、町中華では珍しい豊富なメニュー数となっていった。
青菜炒め一つとっても、仕入れ状況によって小松菜、豆苗、青梗菜から選べる。夏は空芯菜、冬はターサイが加わることもある。旬の食材を使い、野菜を沢山食べて欲しいと店の思いが込められている。
SNS限定の裏メニュー
店のInstagramで発信しているSNS限定の裏メニューも見逃せない。仕入れや店の状況にもよるが一声かけると快く応じてくれる。
ピリッと辛いキクラゲ炒めもSNS限定の裏メニュー。キクラゲが大好物な中華ファンも多いのではないだろうか。キクラゲだけを堪能できる酒のツマミにピッタリの料理だ。
定番メニューも旨い
中華の定番の回鍋肉は、自家製の甜面醤を使用している。食材は食べやすい一口サイズにカットされ、キャベツや玉ねぎの甘さにピリッと辛旨い味が白飯にも酒にもよく合う。
カリッと揚げたとり天が人気
鶏胸肉をカリッと揚げた『とり天』が人気。下味を一晩馴染ませた柔らかくしっとりとした鶏胸肉の唐揚げを『とり天』と読んでいる。以前はメニューにあった鶏もも肉の唐揚げと区別して『とり天』の愛称になった。花椒塩を好みでつけても美味しい。
東京らしい甘酢のかに玉丼
甘酢使用の『かに玉丼』は東京らしい味。
いわゆる天津丼だ。日式中華文化の町中華では定番の料理。関東風の天津丼と関西風の天津飯で好みなどを語り合うのは、町中華好きにはお決まりの鉄板ネタである。
関東地方では天津丼と呼ばれ甘酢餡を提供する店が多く、関西地方では天津飯と呼ばれ塩餡を出す店が多いと言われている。
こちらの店では通常は関東風の甘酢餡で提供しているが、好みに合わせて関西風の塩餡の注文も受けているそうだ。
町中華らしい心配り
昨今の町中華ブームでそれに寄せた中華バルは増えた。この中国屋台十八番も都会的な店構えから一見は中華バルのようにも見える。
ただ店に入って違いを感じるのが、客への愛情や町中華らしい心配りといったところだと思う。客席が見渡せるカウンター式の厨房から、どの席に出す料理なのかを確認して作っているのだと言う。心のこもった料理は、食べる人が笑顔にし幸せにする力がある。
飲みがメインの夜営業には箸立てに菜箸が用意されていたり、女性用に小ぶりのレンゲを提供したりしている。要望があれば紙ナプキンの用意もある。都会のど真ん中で長く愛される理由はそこにもある。
○○番とつく屋号の中華料理店は数多く存在する。また、この十八番は『じゅうはちばん』と読むが『おはこ』と読む店もある。
冒頭に掲げた店舗以外に、日本橋にある翠連や四川亭も親族が経営している。茨城県や福島県の複数に『十八番』から暖簾分けの店が数多く存在している。直系の店を出す親族でも把握できないくらい増えたそうだ。
後継者不足で閉業する店も多い中、都内には今も暖簾分けの町中華が健在だ。大勝軒や代一元、生駒軒などに並び『十八番』も町中華文化を継承する一つ。ぜひ店を訪れ、味わいのある町中華体験を肌で感じて欲しい。
【店舗情報】
中国屋台 十八番
営業時間11:30~14:00 17:30~22:00
土曜日、日曜日、祝日定休
東京都中央区新川2丁目7−7
03-3553-1081 (夜営業のみ予約可)
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