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【人生餃子】名古屋の餃子はひと味違う!独自の食文化がオモシロい"名古屋町中華"の世界

町乃華菜子町中華愛好家

名古屋で餃子を食べるなら"人生餃子"

『人生餃子』は名古屋市中川区に店を構える平成18年創業の町中華。話題の”なごやめし”汁なし台湾ラーメンを『皿台湾』と名付けた人気を博す餃子屋である。この店で提供される餃子が、名古屋で古くから親しまれている玉ねぎを使用した”玉ねぎ餃子”なのだ。他の地域で食べられているキャベツやニラを使った餃子とはひと味もふた味も違う。
人生餃子ではみじん切りにした玉ねぎと、店で挽いた豚ウデ肉と混ぜ合わせ、甘みのある優しい味の餃子を出している。皮は薄く小さめサイズ。可愛らしい小ぶりの一口サイズも名古屋の餃子の特徴である。

餃子4コ240円
餃子4コ240円

名古屋の焼き餃子文化の始まりは昭和30年創業の『夜来香』(えいらいしゃん)だと言われている。当時の名古屋に焼き餃子を出す店がなかった。研究を積み重ねて店に出したのが、餡に豚肉と玉ねぎを使用した玉ねぎ餃子だった。昭和34年創業の『江南柳橋本店』も玉ねぎ餃子を出している。その影響なのか古くから名古屋で焼き餃子を出す店では、玉ねぎ餃子を出す店が他にも存在する。

にんにくラー油
にんにくラー油

生まれも育ちも名古屋の店主は、玉ねぎ餃子に影響を受け名古屋の味を大切にしている。おすすめの食べ方は、刻んだにんにくがたっぷり入った自家製にんにくラー油をつける。餃子はできるだけ他の料理より先に提供している。看板料理の皿台湾は味が強いため、優しい味の餃子を先に味わってほしい気持ちが込められている。

皿台湾についての記事はこちら

信長も愛した名古屋蒲鉾

名古屋ではお馴染みの朱色の蒲鉾。ラーメンや味噌煮込みうどんに添えられているのを目にする。これは信長も愛した『名古屋蒲鉾』と呼ばれるもの。元々は熱田蒲鉾と呼ばれ、名古屋市熱田区で製造されていた。この朱色の蒲鉾は派手を好んだ織田信長にゆかりがあると言われているのだ。信長が桶狭間の戦いで必勝祈願し崇敬した熱田神宮の社殿の朱色とも言われている。朱色は"日の出"の色や"魔除け"の意味もある。蒲鉾を切ると日の出の形になっている。それが東海三県(愛知、岐阜、三重)へ浸透し、朱色の"名古屋蒲鉾"が根付いた。

名古屋蒲鉾
名古屋蒲鉾

人生餃子でも朱色の名古屋蒲鉾をラーメンに添えている。肉の旨味がつまったスープのラーメンに、店自慢の柔らかく大きなチャーシュー、玉子、メンマ、ネギ、海苔と具だくさんのラーメンが710円と”お値打ち”だ。

ラーメン710円
ラーメン710円

名古屋は外食が盛んな地域である。そんな名古屋の人々に満足してもらうには"お値打ち"も大事な要素である。価格の安い高いではなく中身を重視する文化。喫茶店のモーニングサービスを見てもそれが言える。

名古屋の町中華メニューの違い

町中華メニューと言えば、カレーやオムライス、かつ丼などを思い浮かべる町中華ファンも多いと思う。名古屋の町中華ではそれを扱う店は意外と少ない。飲食店が数多く存在し、無数にある喫茶店ではカレーやオムライスを出す店が多いからだ。かつ丼においても、味噌かつ文化の名古屋では中華料理店でかつ丼を食べる人が少ないのだと思う。

店独自の料理や手羽先、どて煮などを扱う店が多いのが名古屋の町中華メニューの違いだと感じる。人生餃子の『玉めん』も店独自のメニュー。ニラやチャーシュー、ナルトがふんわりと玉子でとじられた汁なし麵だ。

玉めん760円
玉めん760円

ごはんにのせた『玉はん』や麵とごはんの両方をのせた『玉もだん』もある。特に”玉もだん”は名古屋らしさを感じる。愛知県の人は一石二鳥を好む傾向にある。有名な例で、ハンコと朱肉を合わせたシャチハタの”ネーム印”や、ポン酢と醬油を合わせたミツカンの”味ポン酢”も愛知県の企業が生んだ合理的な発想の商品だ。”玉もだん”もごはんと麺の両方を一つで楽しめる名古屋らしい発想の料理だと思う。

チャーハンにも特徴が

名古屋流と言える特徴がチャーハンにも見受けられる。どこの地域の中華料理店でも見る『にんにくチャーハン』。これを扱う店がとても多い。台湾ラーメンやベトコンラーメンなど、愛知県の店で出されるご当地メニューはにんにくをたっぷりと使う。昔から製造業が盛んな愛知県ではスタミナがつくにんにく料理が親しまれてきた。にんにくチャーハンも名古屋の町中華らしい料理だと思う。

にんにくチャーハン760円
にんにくチャーハン760円

人生餃子のチャーハンはラード不使用。こだわって選んだ調味料とラーメンスープの旨味でしっとり、ふっくらと仕上げられている。お客のほとんどが注文する、名物の大きなチャーシューと食べても飽きのこないバランスとなっている。チャーハンは平日の夜と、土日の限定メニューとなっている。

名古屋の町中華がオモシロい

店の外には大きなダブルハピネスの文字。中華料理店でよく見かける『』の文字は双喜紋(そうきもん)と呼ばれる。中華圏では喜びが2つ重なり、結婚式の新郎新婦に見立てた縁起の良いシンボルマーク。中国タバコの"ダブルハピネス"を模したデザインの看板だ。『お客様も店も幸せにしたい』店主の思いが込められている。

独自の食文化がオモシロい名古屋の町中華。名古屋の味にこだわった『人生餃子』をぜひ訪れてみてほしい。他の地域とは違った独創的で興味深い町中華体験ができると思う。

【店舗情報】
八剱ROCK 人生餃子
営業時間 11:00〜13:30 17:30〜20:30
月曜日、第4木曜日定休
(日曜日は昼営業のみ)
愛知県名古屋市中川区八剱町3丁目61
営業情報 Instagram

町中華愛好家

味わいある 『町中華』や食堂を巡る体験記。東京近郊の人気店から、常連客が通う隠れた名店を巡る。”日式中華”の文化や魅力、店主の想いを伝えて行きたい。Instagramで町中華での食事の記録を発信中。

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