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梅雨入りの沖縄と低気圧が次々通過の北海道、間に広がる高気圧の晴天域

饒村曜気象予報士
沖縄と北海道の雲(5月4日12時)

沖縄の梅雨入り

 令和4年(2022年)5月4日、沖縄地方は平年より6日早く梅雨入りをしました。

沖縄付近に梅雨前線が停滞したためで、沖縄付近をほぼ東西にのびる雲域がかかっています(タイトル画像参照)。

 沖縄地方の梅雨入りの平年値は5月10日ですが、一番早かった梅雨入りは、昭和55年(1980年)の4月20日です(図1)。

図1 沖縄地方の梅雨入り
図1 沖縄地方の梅雨入り

 ゴールデンウィーク頃の梅雨入りは、珍しいほど早くはありませんが、那覇は4月24日以降、雨の日が続いており、梅雨らしい天気が続いていましたので、ここから梅雨入りと考えると、かなりの早さとなります(表1)。

表1 令和4年(2022年)4月17日以降の沖縄県・那覇の降水量、気温、天気
表1 令和4年(2022年)4月17日以降の沖縄県・那覇の降水量、気温、天気

 また、4月23日の晴れを梅雨の中休みと考え、4月19日に梅雨入りと考えると早い記録になります。

 この表で、0.0とあるのは、雨が降ったものの0.5ミリには達しなかった日、ーーとあるのは、降水がなかった日です。

 梅雨前線が北上気味ですので、5月5日には鹿児島県奄美地方でも梅雨入りするかもしれません(図2)。

図2 予想天気図(5月5日9時の予想)
図2 予想天気図(5月5日9時の予想)

奄美の梅雨入りと沖縄の梅雨入り

 全国で一番早い梅雨入りの平年値は沖縄地方で5月10日、これより2日遅れた12日が鹿児島県奄美地方の梅雨入りです。

 平均すれば沖縄地方は奄美地方より梅雨入りが早いということができますが、年によっては、奄美地方が沖縄地方より早く梅雨入りすることがあります。

 ただ、近年は少し違います。

 20世紀後半(1951年~2000年)の50年間の梅雨入りと、21世紀になってからの21年間の奄美地方と沖縄地方の梅雨入りを比べると、興味ある傾向がみられます(図3)。

図3 沖縄での梅雨入り日と奄美での梅雨入り日の差(1951年~2021年と2001年~2021年)
図3 沖縄での梅雨入り日と奄美での梅雨入り日の差(1951年~2021年と2001年~2021年)

 つまり、21世紀は「同じ日に梅雨入り」と「1~4日奄美のほうが早く梅雨入り」という年が増えており、「沖縄が5日以上奄美より早く梅雨入り」という年が減っているのです。

 この理由はよくわかりませんが、沖縄地方の梅雨が変わってきた可能性があります。

 直近の11年間では、同日の梅雨入りが7年、奄美地方が早かったのは3年ですが、沖縄地方が早かったのは、令和2年(2020年)の1回だけです。

 昨年は同日(5月5日)でしたので、今年は珍しく、奄美地方の方が遅い梅雨入りとなります。

2つの雨域に挟まれた晴天域

 沖縄・奄美地方は雨が多い季節に入りましたが、北海道も低気圧が短い周期で通過するため、雨が多い天気となっています。

 2つの雨域に挟まれた東北~西日本の広い範囲では、大きな高気圧に覆われ、しばらく晴天が続く見込みです。

 日差しがたっぷり届くため、気温が上昇しますが、大陸育ちの高気圧ですので湿度が低く、カラッとした暑さになります。

 過ごしやすいため長時間屋外に居がちですが、紫外線は真夏並みに強まっています。

 日焼け対策やこまめな水分補給などに心掛けて下さい。

10日先までの天気予報

 ウェザーマップが発表した10日先までの天気予報によれば、沖縄地方(那覇)では、連日傘マーク(雨)や黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)が続きます(図4)。

図4 各地の10日先までの天気予報
図4 各地の10日先までの天気予報

 奄美地方(名瀬)でも傘マークや黒雲マークの日が多いのですが、週末はお日様マーク(晴れ)や白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)です。

 ここを、気象庁の予報官がどう判断するかによって、5月5日に奄美地方が梅雨入りするかどうかが決まります。

 沖縄・奄美地方以外で、梅雨入りが早いのは九州南部(鹿児島)の5月30日です(表2)。

表2 令和4年(2022年)の梅雨入り
表2 令和4年(2022年)の梅雨入り

 ただ、5月12日頃からは各地で傘マークや黒雲マークの日が増えてきます。

 早い梅雨入りか、梅雨入り前の走り梅雨か、どちらになるか現時点でははっきりしませんが、いずれにしても雨の季節が始まります。

 ゴールデンウィーク後半の晴天は、家族そろって梅雨対策を考えてみませんか。

タイトル画像、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図3、表1の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

図2、表2の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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