ブルーボトルコーヒー三軒茶屋カフェ、表と裏がある新店舗にブルーボトル日本流の完成形を見た
ブルーボトルコーヒー国内7店舗目「ブルーボトルコーヒー三軒茶屋カフェ」が三軒茶屋に10月27日オープンしました。三軒茶屋には多少土地勘があることもあり、オープニングのイベントのご案内をいただいた正直な感想は、そんなところにブルーボトルの新店舗出すような場所あったかな?というものでした。そして、当日現地に行ってみて、またしてもブルーボトルコーヒーに驚かされることになったのでした。
上の写真を見てわかるように、ブルーボトルコーヒー三軒茶屋カフェは典型的な旗竿地です。しかもかなり奥まっています。油断していると、表通りを歩いているだけでは、見逃してしまいそうですらあります。その旗竿地を距離にして10mちょっと歩いていくと、まさにひっそりとカフェがあります。
中に入ると店舗の基本設計は、まさにブルーボトル流そのもの。
ただ、他の店舗と少し違うのは、この店舗ぐるりとまわりこんで、客席部分は裏側にあるのです。そして、その客席にはベランダがあり、表通りからは一切見えない内庭が楽しめるようになっているのです。
このカフェがどうしてこんな構造になっているのかというと、それはこのカフェの成り立ちと関係があります。このカフェは診療所として使われていた築50年の建物をリノベーションして作られています。さらに、この建物はオーナーが経営するギャラリーも併設されています。
つまり、店舗がぐるりと囲んでいるのはそのギャラリーなんです。カフェの裏に庭があり、さらにギャラリーもある建物というわけです。これは、この場所をそういった場所として生まれ変わらせたかったオーナーの想いをそのまま体現している形になっています。
そして、実はまだこのカフェの表の話をしていませんでした。ただ、すでにみなさんは表を写真で見ています。それは旗竿地の部分です。
晴れた日限定にはなりますが、この旗竿地にはベンチがおかれ、そこでコーヒーを楽しめる場所になっています。そう、不利な旗竿地がここでは、むしろ開かれたスペースとして有効利用されているのです。
さて、ここで私はどうしても、約1年前に自分で書いた記事を思い出さずにはいられません。
「ブルーボトルコーヒー中目黒カフェ誕生秘話、通りをはさんで10年お互いを見つめていた2人の男」
ブルーボトルコーヒー中目黒カフェも三軒茶屋同様に古い建物を大事にしてきたオーナーとブルーボトルコーヒーの幸福な出会いがあって実現した店舗でした。
もちろん、三軒茶屋カフェの設計も中目黒店同様にスキーマ建築計画の長坂常さんの手によるもの。立地とそこにすでにある建物とオーナーの想いを今回も見事にまとめ上げています。この設計、日本だからこそ実現できるブルーボトルコーヒー流の完成形だと思います。茶屋という日本語が地名に入っている場所にこんなカフェがあるってのが、ちょっとでき過ぎなほどです(笑)。
この日は、オープニングということもあり、ブルーボトルコーヒー創業者のジェームス・フリーマン氏も店舗にいました。ということで、単刀直入に「この店舗でいちばん好きなところはどこですか?」とお聞きしました。すると「ここだよ!」と即答してくれました。
ジェームスが指さした先にあるのは『サッシ下端』という文字。「この文字は消さないでくれ」とわざわざ指示したそうです。
創業者の気持ちまで入った、このブルーボトルコーヒー三軒茶屋カフェ。商店街の中ほどにあり、少し駅から離れたところにありますが、わざわざ足を運ぶ価値のある店舗です。ぜひ、一度訪問することをおすすめします。
ブルーボトルコーヒー三軒茶屋カフェ
住所:東京都世田谷区三軒茶屋1-33-18
営業時間:8時~19時
ブルーボトルコーヒーオンラインストア