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敬老の日 シニア家事の環境を見直してみては?

矢野きくの家事アドバイザー/節約アドバイザー/防災士/食育指導士
(写真:アフロ)

今年2022年は9月19日が敬老の日。2002年までは毎年9月15日が敬老の日でしたが、2003年からは9月の第3月曜日が敬老の日となりました。長い間、社会につくしてくれたお年寄りを敬愛し、長寿を祝うというのが敬老の日。プレゼントをしたり、家族でお食事をしたりするなど予定されているご家庭もあると思います。

シニアの方のみの世帯、家族と同居しているシニアの方、さまざまなパターンがあると思いますが、シニアの方がなんらかの家事に関わっているようであれば、敬老の日をきっかけに家事の環境を見直してみてはいかがでしょうか。

シニアの家事環境を見直す必要性

年齢を重ねてくると、それまでなんの問題もなく出来ていたことが出来なくなったり、思わぬところでミスをしてしまったりすることがあります。それは筋力が落ちてきたり、判断力が鈍ってしまっていたりなどさまざまな原因が考えられますが、「今日から出来なくなります」と境界線があるわけではなく、気づきづらいものです。

怪我や事故があってからでは遅いので、早めに対処していくことをおすすめします。

大切なのはシニアの方の気持ちを考えながらやること

筆者のシニアの方向けの講演のときに、「年齢を重ねてから暮らしの中で変えたことはありますか?」という質問への答えで、一番多いのは「運転免許証の返納」です。それ以外は少数で「洋服を買わないようになった」「通帳のある場所を他の家族に分かるようにした」「外出する機会が減った」などで、家の中に潜む危険に対することはあまり挙がってきません。

それほどに無意識なことなので、今までやってきた家事に関して他の人から、あぁだこうだと勝手に変えられてしまうのは気持ちのいいものではないでしょう。強引にやってしまうと「あなたは出来なくなっている」と突きつけられているような気持ちになるかもしれません。そこはシニアの方と相談しながら、以下にご紹介するような家事環境の変更を少しずつ進めていってください。

重たい物・割れやすい物は避ける

重たい鋳物ホーロー鍋や土鍋など、調理して洗って片付けるという作業の中で、手が滑って落としてしまうと危険です。可能であればステンレス製の鍋など軽くて割れにくいものに換えるといいでしょう。

食器も最近は割れにくい素材のものがあるので、頻繁に使うサイズのものは割れにくいものに換えることをおすすめします。

ニトリの割れにくい食器(筆者撮影)
ニトリの割れにくい食器(筆者撮影)

包丁の収納場所は調理台の上にする

包丁を流し下にある扉についている包丁差しに入れて収納しているご家庭も多いと思います。包丁の出し入れは本来であれば難しいことではないのですが、取り出すときにひじがどこかにぶつかって手を離してしまったり、入れるときに包丁差しからズレて入っていないのに手を離してしまい足の上に落ちてしまうということも考えられます。包丁はできる限り場所を移動しないでいいように、調理台の上に収納スペースを作ることをおすすめします。

包丁は移動距離を短くするために調理台に置けるようにする(筆者撮影)
包丁は移動距離を短くするために調理台に置けるようにする(筆者撮影)

使う頻度で1軍から3軍に分けて収納場所を考える

キッチンでも洗濯でも掃除でも、家の中で使う物を使う頻度ごとに1軍から3軍まで分けて、とくに1軍のものは、体勢を変えないで手に取れる場所に収納場所を変えます。背伸びすることやかがむ必要がない場所にあることで、無駄な事故や怪我を防ぐことができます。

IHコンロや調理家電を導入する

お金がかかることではありますが、ガスコンロよりもIHコンロのほうが火事の心配は少なくなります。IHコンロの導入が難しい場合は、ガスコンロでも最新のものは加熱しすぎの場合のオートオフ機能がついているので、それらに換えることでも安心できます。

コンロを換えないでも調理家電を導入することで事故を少なくすることも可能です。電気調理鍋や、電気魚焼きロースターなど、現在は様々な調理家電があります。

筆者が使用している魚焼きロースター パナソニックけむらん亭(筆者撮影)
筆者が使用している魚焼きロースター パナソニックけむらん亭(筆者撮影)

しかし高齢になると調理家電は難しいと敬遠しがちなのも事実。これは簡単に使えるようにしてあるオートメニューが逆に数が多すぎて難しく感じてしまうケースが多いようです。調理家電は多くのものが手動設定があり、「◯度を◯分」と温度と時間を設定することができます。これを利用すれば、「コンロで(強火や中火)で◯分」の設定と同じイメージで操作できるので、手動設定を最初に覚えてもらうといいでしょう。

不便を感じることはないか聞いてみる

シニアの方に、日頃、家の中でなにか不便を感じていることはないか聞いてみましょう。不便を感じるということは、動きがスムーズにできないということが多いので、その中に危険が潜んでいる可能性があります。不便なことを聞いてみて、改善できるようであれば改善することで、怪我や事故を減らすことができるかもしれません。

繰り返しになりますが、シニアの方は自分で筋力や判断力が落ちてきているということを感じていない場合もあります。それだからこそ事故や怪我になりやすいのです。ぜひとも相談をしながら、家事をしやすい環境を整えていってください。

家事アドバイザー/節約アドバイザー/防災士/食育指導士

家事の効率化、家庭でできるSDGsを中心に、テレビ、講演、コラム連載などで活動。働く人向けの時短家事術、シニア層への家事改革などをアドバイス。「防災士」の資格を持ち家庭での備え、「食育指導士」の資格も持ち、食品ロス削減をテーマにした講演も定評がある。100円ショップや業務用スーパーでのお得な買い物術の紹介や、便利グッズの開発にも携わる。【テレビ出演】NHKごごナマ(準レギュラー)・日本テレビミヤネ屋・TBSテレビはなまるマーケット・フジテレビ笑っていいとも他。【連載実績】HONDA・東芝・イオン等企業のオウンドメディアや、日経新聞・時事通信 他。【著書】シンプルライフの節約リスト(講談社)他。

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