「クリニックで塩素ガス発生28人入院」家庭でも起こりうるSNSで見られる危険家事
2024年9月2日、広島市中区の「中島土谷クリニック」で塩素ガスが発生したものとみられ、約140人が避難、体調不良を訴える人など28人が入院するという事故が起こりました。
記者会見をした同クリニックの理事長によると透析装置を消毒する消毒剤の補充に誤りがあったとみられ、次亜塩素酸ナトリウムと酢酸が反応したと考えているとのこと。
消防や警察の機動隊のNBCテロ対応専門部隊なども出動し対応にあたりました。消防によると塩素が検出されたそうです。
塩素ガスが発生するとどうなる?
塩素ガスが発生すると目や皮膚、気道が刺激され、痛みを感じます。肺まで吸ってしまうと肺水腫になり重篤な事故、死に至ることもあるのが塩素ガスの恐ろしさです。
「まぜるな危険」を混ぜるSNSで見られる危険な家事術
今回の広島の事故では塩素系の「次亜塩素酸ナトリウム」と酸性の「酢酸」が混ざったことにより塩素ガスが発生したものと見られていますが、塩素系と酸性の洗浄剤が混ざることは家庭でも起こりうる事故です。
洗濯などに使う塩素系漂白剤やカビ取り剤、キッチンのぬめり取り剤なども、主成分は今回の事故と同様の次亜塩素酸ナトリウムです。そしてトイレ用の尿石などを取る洗浄剤は酸性のものが多くあります。
どちらも「まぜるな危険」と大きく表示されているものです。
しかし近年、SNSでは洗浄剤を本来の使い方とは違う使い方をする裏技的な家事術が驚くほど多く出回っています。「まぜるな危険」は表示されていないかのように普通に混ぜて使われているのが現状です。
危機を感じているメーカーも注意喚起をしています。トイレ洗浄剤として代表的なサンポールは製品ページを開くと上に被せるように注意喚起を表示するほど、今のSNSで見られる誤った使い方に危機を感じているのでしょう。
気軽に情報を発信できるSNSでは、その情報が正しいかどうか危険はないかなど調査確認してから投稿している人も少ないのでしょう。1つの家事技がバズる(爆発的に話題が広がる)と、それを真似して投稿する人が続くのが現状です。
何が酸性で何が塩素系か分からず使っている人も多く見られます。
自分や家族が事故で死に至る可能性もある上、誤った情報を発信・拡散することによって他人の命をも脅かすことにもなりかねません。
また見る側は、情報に関しては発信者が責任を持って発信しているか否か判断しながら受け取る習慣が必要です。
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