任天堂の状況が一目で分かるグラフ いまだに新作より売れる6年前のソフト<3Q決算>
任天堂の2022年度第3四半期連結決算が発表されました。シンプルに説明すると、ピークを過ぎて下り坂ながら、依然として高利益をキープしています。年末商戦も稼いでいて「さすが」なのですが、それゆえの“悩み”も見え隠れします。
◇営業利益率まだ3割
任天堂の最近の年度別業績を見ると、2020年度(2021年3月期)をピークに下り坂なのがハッキリと分かります。一方で売上高、本業のもうけを示す営業利益のいずれも、減少幅が緩やかです。
注目は、営業利益率の高さ。ピークから2年が経過したものの、いまだに30%近くもあります。
続いて四半期(3カ月)の一覧を見ると、変化の度合いが良く理解できます。任天堂の決算短信は四半期ごとではないのですが、ホームページでは四半期ごとの業績を振り返ることができます。
四半期の前年同期を比べると、基本は売上高、営業利益は落ちているのですが、それでも踏ん張っています。2022年度は半導体不足でニンテンドースイッチを予定通りに生産できなかったにもかかわらずです。もし計画通りだったら右肩下がりからの反発、そして上方修正もありえた……と考えると恐ろしいですね。
◇6年前のゲーム 普通の新作ゲームより売れ…
難しいのは、ニンテンドースイッチのビジネスがこれだけ成功すると、次世代機の投入タイミングに悩むことになります。なぜなら、これだけ売れ続ける現行機を切ることになるから。2022年度の出荷予定は1800万台ですが、これは携帯ゲーム機「ゲームボーイアドバンス」のピーク時を上回る数字です。
さらにソフトの売れ行きも好調です。「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」(2061万本)や「スプラトゥーン3」(1013万本)も強烈なのですが、「マリオカート8」は別の意味で恐るべしです。何せ出たのが6年前(WiiU版の存在を考えればもっと前!)なのに、今年度も現時点(9カ月分)で666万本を出荷(累計5000万本突破!)しています。普通の新作ゲームよりも売れているのです。冷静に考えると、社会現象を起こした「あつまれ どうぶつの森」よりも売れているのですから。
なお、人気ゲーム機の後の新型機は投入が遅く、今一つだったゲーム機の後は投入が早くなる傾向にあります(当然ですね)。近年問題になっている転売対策をどうするのかも含めて、難しい対応を迫られそうです。