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習主席「中韓は歴代最良の友好関係」発言報道は誤り 青瓦台が誤発表か

楊井人文弁護士
9月3日、中国・北京の戦勝70周年記念式典で演説する習近平国家主席(写真:ロイター/アフロ)

【GoHooレポート9月14日】日本経済新聞は9月3日付朝刊で、「中韓首脳『蜜月』印象づけ 習氏『最良の関係』 朴氏を厚遇」と見出しをつけ、2日北京で行われた中韓首脳会談で、中国の習近平国家主席が「中韓はこれまでで最良の友好関係に発展した」と述べたと報じた。東京新聞も同日付朝刊で、習主席が「朴大統領との協力で中韓関係は歴代最上の友好関係に発展した」とアピールしたと報じ、時事通信も同様の発言を報じた。しかし、東京新聞は13日付朝刊で、引用した習主席の発言部分を「両国は友好的な隣国だ」に訂正。「韓国政府が首脳会談後の発表文を訂正したため」と説明した。(詳細版はGoHooサイト参照)

中韓首脳「蜜月」印象づけ 習氏「最良の関係」 朴氏を厚遇

2日の中韓首脳会談は習近平国家主席と朴槿恵(パク・クネ)大統領の「蜜月」を強く印象づけた。

「中韓はこれまでで最良の友好関係に発展した」。習氏は2日、人民大会堂で向かい合った朴氏にこう声をかけた。

昼食も共にし、会談は合計1時間40分にも及んだ。午後には李克強首相が朴氏を迎え、経済協力をテーマに協議するなど中国指導部は異例の厚遇で朴氏をもてなした。…(以下、略)

出典:日本経済新聞2015年9月3日付朝刊3面

東京新聞2015年9月13日付朝刊
東京新聞2015年9月13日付朝刊

日経は11日付朝刊国際面の「韓国、中国と戦略対話」の記事中、韓国政府が内外の記者団への資料提供を急ぐ過程で誤訳があり、問題の発言部分が「中韓は友好的な隣国」などとトーンダウンした、と報じる形で事実上修正した。しかし、訂正記事は出さなかった。時事は14日正午現在、元の記事をそのまま掲載し、訂正していない。

習主席の中韓首脳会談での発言が誤って翻訳され、韓国メディアが一斉に誤報したとニュースサイト「FOCUS-ASIA.COM」が3日伝えていたことから、日本報道検証機構が同様の発言を報じた日経新聞など3社に質問していた。同ニュースサイトによると、韓国政府の青瓦台が通訳と翻訳の過程でミスがあったとして修正版を取材陣に配布し、当初あった「歴代最高の友好関係」という表現がなくなっていたという。韓国紙「中央日報」日本語版ニュースサイトにも同様の誤報をした記事が掲載されていたが、当機構が問い合わせた後、削除された。

弁護士

慶應義塾大学卒業後、産経新聞記者を経て、2008年、弁護士登録。2012年より誤報検証サイトGoHoo運営(2019年解散)。2017年からファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)発起人、事務局長兼理事を約6年務めた。2018年『ファクトチェックとは何か』出版(共著、尾崎行雄記念財団ブックオブイヤー受賞)。2022年、衆議院憲法審査会に参考人として出席。2023年、Yahoo!ニュース個人10周年オーサースピリット賞受賞。現在、ニュースレター「楊井人文のニュースの読み方」配信中。ベリーベスト法律事務所弁護士、日本公共利益研究所主任研究員。

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