Googleがピストルを水鉄砲に変えた理由 - 絵文字が表す社会問題
Emojipediaというウェブサイトをご存じでしょうか?
様々なプラットホームの絵文字の新作やデザイン変更などを網羅している「絵文字の百科事典」です。日本で生まれた絵文字はスマートフォンやSNSアプリによって世界中で使われるようになり、毎年100を超える絵文字が増え続けています。
そんなEmojipediaで話題になったのが、GoogleがAndroidなどで表示されるピストルの絵文字のデザインを「水鉄砲」に変更したという話です。
ご存じの通り、米国では銃撃事件が相次いでおり、直近では学校での銃撃事件が発生し、これに対してトランプ大統領が「教師が武装すれば問題解決が早かった」などと持論を展開し銃規制に後ろ向きだったことから、全米で銃規制を求めるデモ活動が行われました。
最も身近なツールであるスマートフォンやSNSの中からだけでも、ピストルを排除しようということで、世界最大のモバイルOSを開発するGoogleも、ピストルを水鉄砲に変更しました。
この変更はGoogleが初めてではありません。2018年に入って、既にSamsung、Twitterが「水鉄砲化」を進めてきました。そして先陣を切ったのはAppleで、2016年にデザイン変更が行われました。
現在ピストルのまま利用しているのはMicrosoftとFacebookですが、両者も間もなく水鉄砲への変更が行われる予定です。それにしてもGoogleの水鉄砲の絵文字は、他のプラットホームのモノよりも威力・持久力ともに強そうですね。
デザインの修正はこれまでの絵文字にもありましたが、絵文字が表す「モノ」自体を変更したケースは希だったそうです。そして、このAppleのピストル絵文字の水鉄砲化には、当時ネガティブな意見も多かったようです。しかし今日では、よほどの銃規制反対論者でなければ、理解を示すのではないでしょうか。
ただ、絵文字はコミュニケーションに用いられ、飾り以上に意味を重視します。Emojipediaでは当時、Appleだけが変更しても問題は解決しないどころか、恐ろしいことが起きる事を例示しています。
iPhoneユーザーが友人に「水鉄砲持ってきてね」と絵文字を入れたメッセージを送ったとしても、他のAndroidユーザーやメッセージプラットホームによっては、水鉄砲ではなくリアルなピストルを持ってこい、と見えてしまうからです。かなり物騒なメッセージになってしまいます。
絵文字は日本で生まれ、Unicodeに入り、スマートフォンとSNSの拡がりによって世界中で親しまれています。人種や食文化の多様性が含まれ、また米国の銃の問題が反映されることを、1999年にパケット代節約とコミュニケーションを楽しむために多用していた大学生になりたての私は、想像すらしていませんでした。