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開幕直前に入団した選手が大当たり!? 8試合で4本のホームランを打ち、11打点を挙げる

宇根夏樹ベースボール・ライター
フランチー・コルデロ(ニューヨーク・ヤンキース)Apr 3, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズン、フランチー・コルデロ(ニューヨーク・ヤンキース)は、8試合に出場し、打率と出塁率は.250と.300ながら、4本のホームランを打ち、11打点を挙げている。

 4月13日を終えた時点で、4本塁打はチーム最多タイ。アーロン・ジャッジと並んでいる。11打点は最多。次いで多いのは、8打点のアンソニー・リゾージャンカルロ・スタントンだ。

 開幕直前まで、コルデロは、ヤンキースにはいなかった。昨年12月にボルティモア・オリオールズとマイナーリーグ契約を交わし、スプリング・トレーニングでは、18試合で打率.413と出塁率.426、2本塁打と9打点を記録した。

 だが、オリオールズの開幕ロースターには入れず、3月27日に退団した。コルデロのほうから、契約を打ち切ってFAになったようだ。ヤンキースに入団したのは、その3日後の開幕当日――契約が報じられたのは開幕前日――だ。

 ここまでのコルデロは、昨シーズンのマット・カーペンター(現サンディエゴ・パドレス)を彷彿させる。5月下旬にヤンキースと契約を交わしたカーペンターは、最初の10試合で打率.333と出塁率.467、6本塁打と13打点を記録した。シーズン全体では、47試合で打率.305と出塁率.412、15本塁打と37打点だ。カーペンターのヤンキース入団と直後の活躍については、「ヤンキースが契約したのは、チーム一筋だったベテランではなく、昨年までカーディナルス一筋のこの選手」「ヤンキースは途中補強でも「大当たり」。この選手は8安打中6本がホームラン」で書いた。

 コルデロの活躍が今後も続き、ライトあるいはレフトに定着するかどうかは、まだわからない。カーペンターは、実績のあるベテランだ。2013~14と2016年には、オールスター・ゲームに選出されている。一方、これまでのコルデロは、2017~22年の出場227試合で打率.221と出塁率.290、21本塁打と74打点に過ぎない。マイナーリーグを含めても、1シーズンのホームランは、2017年の20本――AAAで17本とメジャーリーグで3本――が最多だ。

 ただ、一過性の好調ではなく、ブレイクの可能性もある。コルデロは28歳だ。もともと、パワーのポテンシャルは低くない。

 一方、2年1200万ドルでパドレスに入団したカーペンターは、開幕から10試合に出場し、打率.200と出塁率.375、1本塁打、6打点を記録している。昨シーズンのようなパワーは発揮しておらず、打率も低いものの、選球眼は今シーズンも健在だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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