カテゴリーを超えた真剣勝負ゆえのリスペクト(天皇杯2回戦:セレッソ大阪3-1ジェイリースFC)
プロ・アマ問わず、日本サッカー界のナンバーワンを決めるトーナメント大会、天皇杯 JFA 第104回全国日本サッカー選手権大会(以下、天皇杯)。ミッドウィークの6月12日、2回戦32試合が各地で行われた。
ちょうど前日に日本代表の取材で広島にいたので、今回は新幹線で大阪まで移動。ヨドコウ桜スタジアムで開催される、セレッソ大阪(J1)vsジェイリースFC(大分県)を取材した。さっそく写真と共に試合を振り返ることにしよう。
私は毎年、天皇杯の2回戦を楽しみにしている。J1とJ2クラブが登場し、J3クラブを含む都道府県代表とのカテゴリーを超えた戦いが見られるからだ。運が良ければジャイキリ(ジャイアント・キリング)にも遭遇できる。
実際、この2回戦ではJAPANサッカーカレッジ(新潟県)が名古屋グランパス(J1)に1-0で、テゲバジャーロ宮崎(宮崎県)がジュビロ磐田(J1)に2-1で、そして筑波大学(茨城県)がFC町田ゼルビア(J1)に1-1からPK戦で競り勝り、それぞれジャイキリを達成している。
このうち町田と筑波大の試合は、町田の4選手が負傷(うち2選手が骨折)。さらに黒田剛監督が、試合後の会見で「マナーが悪い」「指導教育ができていない」と対戦相手を批判したことから、サッカー界全体を巻き込んでの炎上案件となってしまった。
怪我をした選手には同情するしかないが、それ以上に残念なのはJFAが推奨している「リスペクト(宣言)」が置き去りにされてしまったことだ。
私が取材したヨドコウでの試合後、ジェイリースの永芳卓磨GMは、このようなポストを残している。
1986年生まれの永芳GMは、名古屋ユース、筑波大を経て、FC岐阜や大分トリニータなど4つのJクラブでプレー。2018年から6シーズン、選手兼監督としてジェイリースに迎えられ、3つのカテゴリーを駆け上がる原動力となった。そして昨年、現役引退と監督退任を発表。今季からGMを務めている。
Jユースと大学、そしてJ1から大分県3部まで、さまざまな現場を経験した永芳GM。そんな彼だからこそ、カテゴリーを超えた真剣勝負の大切さを熟知している。そして、そこにはリスペクトが不可欠であることも。
天皇杯の選手入場の際、なぜリスペクトフラッグが先導するのか。その意味をあらためて考える必要がある。
<この稿、了。写真はすべて筆者撮影>