Jリーグ以下のカテゴリーも佳境! J3とJFLと地域リーグの昇降格と入れ替え戦を整理する
J1とJ3はあと2節、J2はJ1昇格プレーオフを残すのみとなった、2024年の国内サッカー。その下のカテゴリー視線を移すと、JFLが残り2節。そのJFL昇格を決める、地域CLの決勝ラウンドは、来週20日から京都にて開催される。
アマチュアとプロが混在するJFLが、にわかに動向が注目されるようになったのは2023年から。この年から、J3との入れ替え制度が導入されるようになった。
昨シーズンは、JFLの1位と2位(Honda FCとブリオベッカ浦安)に昇格資格がなく、入れ替えはなし。しかし今シーズンは、2位以内を確定させた栃木シティFC(以下、栃木C)と高知ユナイテッドSCは、いずれもJ3ライセンスを交付されている。
一方、J3の順位表に目を移すと、20位(最下位)が確定したいわてグルージャ盛岡のJFL降格が確定。19位のY.S.C.C.横浜は、18位の奈良クラブ、17位のAC長野パルセイロと勝ち点4差となっている。
本稿では、佳境を迎えたJ3とJFLと地域リーグという3つのカテゴリーについて、昇降格と入れ替え戦という視点から整理してお伝えすることにしたい。
■12年ぶりにJFL降格となった、いわてグルージャ盛岡
JクラブがJFLに降格するのは、2012年のFC町田ゼルビア以来のことである。ただし12年前のケースは、J2からJFLへの降格。この時点でJ3は存在していなかった。
町田の降格は、結果としてJリーグ全体に衝撃を与えることとなり、2年後の2014年から新たにJ3が創設されることとなる。1年目のJ3には、町田を含む9クラブがJFLから引き上げられたのだが、さらに東北リーグ1部所属だった、グルージャ盛岡(当時)も名を連ねることとなった。
前年の地域決勝で優勝していたとはいえ、東北リーグから一躍Jクラブとして遇されたのは、数合わせの意味合いが大きかった。JFLをすっ飛ばしてJクラブとなった岩手が、降格して初めてのJFLを戦うことになるのは、何とも皮肉めいた話。ぜひとも、1年での復帰を果たしてほしいところだ。
一方、入れ替え戦に回る可能性が最も高いのが、19位のYS横浜だ。残り2節で連勝したとしても、長野と奈良の結果次第という厳しい条件。よって、目前の2試合に集中しながら、JFLの結果にも注意を払う必要がある。
■栃木シティFCが優勝すればJ3でダービーが実現!
JFLは第28節を終えて、1位が栃木Cが勝ち点58、高知は53となっている。1位は無条件でJ3昇格となり、2位はJ3の19位とホーム&アウェイの入れ替え戦。勢いがあるのは栃木Cだが、高知にも逆転のチャンスは残されている。
今季のJFLは「門番」Honda FCの不調を突くように、高知が開幕7連勝で首位を独走。J3昇格の期待が一気に高まってゆく。これに対し、今季JFLに昇格したばかりの栃木Cは、第13節から16試合無敗という驚異的な追い上げを見せ、第24節で首位が入れ替わった。
残り2節の対戦相手は、栃木Cがアトレチコ鈴鹿(H)とソニー仙台FC(A)、高知はFCマルヤス岡崎(A)とクリアソン新宿(H)となっている。栃木は1勝すれば、文句なしでJ3に昇格。すでに栃木SCのJ3降格が決まっているので、来季はダービーが実現する公算が高い。
もっとも栃木Cが、このまま負けなしでシーズンを終えるかどうかは、注意深く見守る必要がある。鈴鹿にはアウェイで1-5で敗れており、ソニー仙台も今季限りのJFL退会と活動終了が決まっている。土壇場で再び首位が入れ替わる可能性は、決してゼロではない。
■JFLから入れ替え戦に回る可能性があるのは3チーム
JFL昇格を懸けた地域CLも、いよいよ佳境。たけびしスタジアム京都で20日から開催される決勝ラウンドには、ジェイリースFC(九州/全社枠)、VONDS市原FC(関東)、福井ユナイテッドFC(北信越)、そして飛鳥FC(関西)が出場する。
この地域CLで優勝したチームは、ストレートでJFLに昇格。2位チームは、JFLの16位(最下位)チームと、アウェイでの一発勝負の入れ替え戦を行う。対戦の可能性があるのは、現在14位のミネベアミツミFC、15位のクリアソン新宿、16位の横河武蔵野FC。いずれも勝ち点22である。
個人的に注目しているのが、J3ライセンスが交付されている新宿だ。東京23区内からJリーグ入りを目指しており、今季は国立競技場で2試合を開催。いずれも平日でありながら、公式入場者数は1万6480人と1万4907人を記録した。これだけの実績を残しながら、新宿は関東リーグに降格するリスクを抱えている。
次節はホームで、ミネベアミツミと直接対決。一方、武蔵野はホームでソニー仙台と対戦する。もちろん、上位陣の結果も気になるところ。今週末はぜひ、JFLにもご注目いただきたい。
<この稿、了。写真はすべて筆者撮影>