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今夏のトレード市場から大物が消える!? シャーザーはトレード拒否権を取り下げない意向を示す

宇根夏樹ベースボール・ライター
マックス・シャーザー(テキサス・レンジャーズ)Jul 9, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月9日、テキサス・レンジャーズは、5対4でロサンゼルス・エンジェルスを下し、5日からの連勝を、今シーズン最長の5に伸ばした。

 この試合に登板したマックス・シャーザーは、翌日、ポッドキャストの「ファウル・テリトリー」にリモートで出演し、A.J.ピアジンスキにトレード拒否権を取り下げる気があるのかどうかを訊ねられ、そうするつもりはないと答えた。

 レンジャーズは、44勝48敗と負け越し、ア・リーグ西地区の3位に位置している。首位のシアトル・マリナーズとの差は、5.5ゲームだ。ワイルドカードの3番手、ボストン・レッドソックスとは、7.0ゲーム離れている。マリナーズの勝率は、レッドソックスよりも低い。

 レンジャーズは、夏のトレード市場で売り手に回り、主力を手放してもおかしくない。

 その場合、シャーザーは、放出の候補となる。今シーズンは、3年1億3000万ドルの契約最終年だ。

 昨年の夏、シャーザーは、トレード拒否権を行使せず、ニューヨーク・メッツからレンジャーズへ移った。メッツは、シャーザー(と金銭)と交換に、ルイスアンヘル・アクーニャを獲得した。ロナルド・アクーニャJr.(アトランタ・ブレーブス)の弟だ。

 移籍後の8登板で、シャーザーは、防御率3.20を記録した。ポストシーズンの3登板は防御率6.52ながら、レンジャーズは、初のワールドシリーズ優勝を飾った。シャーザーにとっては、2019年に続く2度目の優勝だ。当時は、ワシントン・ナショナルズで投げていた。レンジャーズと同じく、ナショナルズも、初めてのワールドシリーズ優勝だった。

 3年前も、シャーザーは、夏のトレードで移籍している。トレイ・ターナー(現フィラデルフィア・フィリーズ)とともに、4人と交換され、ナショナルズからロサンゼルス・ドジャースへ移った。この時は、移籍後の11登板が防御率1.98、ポストシーズンの4登板は防御率2.16。ドジャースは、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズで敗退した。

 なお、夏以降もレンジャーズで投げ続けるというのは、あくまでも、現時点の意向だろう。ここから、レンジャーズが黒星を積み重ねるようであれば、トレード拒否権を取り下げる可能性も皆無ではない気がする。

 シャーザーは、昨年12月に椎間板ヘルニアの手術を受けた。今シーズンは、先月下旬に開幕を迎え、4登板で防御率3.09を記録している。いつもは10.00を超える奪三振率が6.56に過ぎず、今月下旬には40歳の誕生日を迎えるが、まだ23.1イニングを投げただけだ。ここから、調子を上げていくかもしれない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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