アメリカ軍の弾道ミサイル迎撃試験FTX-23「ステラーシーシュポス」が成功
2月7日(発表は2月8日)、アメリカのミサイル防衛局(MDA)および海軍はハワイのカウアイ島沖で弾道ミサイル迎撃試験FTX-23ステラーシーシュポスを行い成功させました。参加艦艇はイージス艦「マッキャンベル」と「ジャック・H・ルーカス」、使用した迎撃ミサイルはSM-3ブロック2A大気圏外迎撃ミサイル、標的の中距離弾道ミサイルはC-17輸送機から投下した空中発射型です。
なお今回の実験はさまざまな視野角にわたって複数のセンサーから標的情景に関するデータを収集することを主な目的としており、本来は標的を撃墜する必要はありませんでしたが、新型迎撃ミサイルであるSM-3ブロック2Aの射撃データもついでに得るために迎撃を実施しています。
MDA & Navy Successfully Demonstrate Aegis Capabilities against Advanced Countermeasure Missile Target (FTX-23)
※動画はミサイル防衛局(MDA)の公開動画より命中シーンのみ抽出
命中シーンでは標的ミサイルも迎撃ミサイルも複数の熱源が見えます。しかし発射されたのはそれぞれ1発ずつだけで複数発射はされていません。
推定:熱源の見え方(SM-3迎撃ミサイル)
- キネティック弾頭(体当り弾頭)
- クラムシェル型ノーズコーンその1
- クラムシェル型ノーズコーンその2
- 第3段ロケット(TSRM: Third Stage Rocket Motor)
SM-3迎撃ミサイルは大気圏外専用です。キネティック弾頭(体当り弾頭)はサイドスラスターを持ちスライド移動はできますが、前方への推進用のロケットは持ちません。クラムシェル型ノーズコーンは2つに分かれるフェアリングで、キネティック弾頭を保護しています。第3段ロケットはSM-3の最後の推進ロケットです。
目標への突入前にノーズコーンを投棄し、キネティック弾頭は第三段ロケットから分離しますが、宇宙空間なので空気抵抗が無いのでこれらの投棄分離した部品も一緒に飛んで行きます。おそらくこれらの幾つか、あるいは全てが、赤外線カメラで捉えられています。
目標の標的ミサイルの方も模擬弾頭やノーズコーン、あるいはデコイ(囮)を搭載しており複数の熱源が見えているのでしょう。
そしてSM-3迎撃ミサイルのキネティック弾頭の赤外線センサーは、これらノーズコーンやデコイ群と目標の弾頭を見分けて突入する能力を持っています。