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【久留米市】アートは特別じゃない! 秋のお出かけは作品との対話を楽しもう

フカイエヒロルライター / エディター / ディレクター(久留米市)

今年は一段と暑い日が続きましたが、ようやく秋も深まってきました。

秋と言えば、“芸術の秋”!

現在、[石橋文化センター]で「アートフェスティバル2024」が行われています(11/17まで)。

「アートフェスティバル」は2016年から毎年実施されているイベントです。

私も何度か足を運んだことがありますが、同時期に開催されている「バラフェア」に来たついでに、というのがホントのところで…。

しかし、今年のパンフレット等の制作を担当させていただくご縁がありまして、今回「アートフェスティバル」メインで訪れてみました。


正直、芸術よりも“食欲の秋”な私。

特に現代アートはまったくの門外漢なのですが、想像以上に楽しめたのでご紹介したいと思います。

創作活動を体験・体感できる参加型アート

最初に訪れたのは、図書館南側にある「オレクトロニカアートセンター路上活動実践室」

美術ユニット・オレクトロニカと、佐賀大学芸術地域デザイン学部の6名による作品です。

なんと、中にはラジオブースが!

こちらでは、会期中の土日・祝日の11時から30分間、ラジオを放送しています。

内容は「いつか作ってみたいもの」や「私の小さな表現活動」といったテーマで寄せられたお便りを読み上げるというもの。

「アートフェスティバル」のInstagramでライブ配信もおこなっています(リンクは記事の最後に載せています)。

他にもさまざまな作品が展示されています。
他にもさまざまな作品が展示されています。

園内に活動スペースを設置し、来園者主体の活動を展開。主にパフォーマンスと作品展示を行うが、アーティストが主体となる従来型の作品から、来園者を主体にするという特色があり、アーティストが、来園者とアートを繋ぐ役割を果たす作品となっている。

(パンフレットから一部引用)

ここでは来園者が創作活動を体験することができ、それ自体が作品ということのようです。

会期中はさまざまなワークショップが予定されているので、これを機に創作活動を体験してみるのもいいかもしれません。

ワークショップの詳細は、[石橋文化センター]のホームページで確認できます。

https://www.ishibashi-bunka.jp/event/iccaf_ws2/

ちなみに、何らかの創作活動をしている方なら、自分の作品を展示してもらうこともできるそうですよ。

丸っこいフォルムがかわいい“水の妖精”

「坂本繁二郎旧アトリエ」近くのあずまやには、「水妖の棲み家」があります。

九州産業大学大学院芸術研究科の有志5名による作品です。

あずまや周辺に佇んでいるのは、筑後川に棲む水の妖精“ちゃぷたった”。

丸っこいフォルムとつるんとした質感がカワイイですね〜!

なにやら会話をしているような“ちゃぷたった”。何を話しているのでしょうか。
なにやら会話をしているような“ちゃぷたった”。何を話しているのでしょうか。

“水”は自然災害を生み出すものである一方で人々の生活に欠かすことのできない大切なものである。石橋文化センター内にも水の音を感じる場所がいくつかある。彼らは水をテーマに、園内にあるあずまやを中心に癒しの空間演出を試みた。

(パンフレットから一部引用)

“ちゃぷたった”は、川を大切にする人々の心から生まれ、川を守り続けてきた妖精。

水と緑に囲まれたこの空間にいると、確かになんだか生き物っぽさを感じてしまうから不思議です。

なお、最終日は好きな“ちゃぷたった”を持ち帰れるそうです(16時30分〜19時30分/なくなり次第終了)。

ウチの庭にも1匹お越しいただこうかな。

新たな希望の船出

坂本繁二郎旧アトリエと広場で展開されているのは、「光をあつめて地にもどす 軽さ・明るさ Lightness/Lightness」です。

こちらは、現代美術作家・オーギカナエ氏による作品。

坂本繁二郎旧アトリエには、小さな黄色いオブジェが広がっています。

これはオーギカナエ氏と来場者でつくる“スマイル船団”。

会期中の11時〜16時(最終受付15時30分/11/11はお休み)につくることができ、一緒に展示されます。

広場に設置されているオブジェは循環を表しているのだそう。
広場に設置されているオブジェは循環を表しているのだそう。

ゆるかわな表情と明るい黄色が印象的で、なんだか楽しげな雰囲気。

しかし、この作品が生まれた大元には2023年7月の豪雨被害にありました。

ステートメント(解説文)の一部抜粋が難しいので、詳細はぜひパンフレットを見ていただきたいのですが、「どんなにつらい出来事があっても、その後には再び希望が生まれる」ということを伝えている気がしました。

“スマイル船団”の船出は、新たなスタートの象徴なのかもしれません。

幸せは人の数だけある

最後は、築山にある「しあわせの家をつくる」

こちらはアーティスト・天野百恵氏と小学生による作品です。

たくさんの小さな家と、1つの大きな家が並んでおり、1つのコミュニティのように見えました。

人それぞれ、安心する場所、落ち着く場所、しあわせの場所があるが、その中でも“家”は私たちにとって1番身近な場所である。もし、石橋文化センター園内に家があるとすれば、どんな家だろうか。家が一つあるだけでそこからストーリーを想像することができる。きっとワクワクするような家だろうと天野は考え、今回、子ども達31名と一緒に「しあわせの家」を作ることを試みた。

(パンフレットから一部引用)

大きな家をつくったのは天野百恵氏。
大きな家をつくったのは天野百恵氏。

子どもたちは、実際に展示場所を訪れたうえで、それぞれ“しあわせ”について考えながら家をつくったのだそうです。

カラフルな家や虹が架かる家、花が咲いている家など、1つとして同じものはありません。

幸せのカタチは人それぞれ。

それぞれ幸せのカタチは違っても寄り添いあって生きている。

改めてそんなことを思いました。

バラフェアも開催中

「アートフェスティバル2024」と同じく、11/17(日)まで「秋のバラフェア2024」が行われています。

ちょうど見頃のようで、たくさんのバラが咲いていました。

土日・祝日はマルシェも開催。

出店状況は以下のページから確認できます。

https://ishibashi-bunka.jp/rose/marche/

[久留米市美術館]では「日本が見たドニ | ドニの見た日本」を開催中です(2025/1/13まで)。


また、会期中の土日・祝日は20時までライトアップされています。

右下に写る白い物体は白鳥です。
右下に写る白い物体は白鳥です。

睡蓮とバラの庭から坂本繁二郎旧アトリエに向かうアプローチ。
睡蓮とバラの庭から坂本繁二郎旧アトリエに向かうアプローチ。

夜の水妖たち。
夜の水妖たち。

[石橋文化センター]には何度となく訪れていますが、夜は初めて。

昼間とはまた違った雰囲気を味わえました。


はじめに書いていた通り、現代アート素人の私でも楽しめた「アートフェスティバル」。

今回は、①とりあえず見る→②ステートメントを読む→③改めて見る、という流れで鑑賞したのですが、これが良かった気がします。

初見ではただ「かわいい」としか感じなかったものでも、ステートメントを読むと「コレにはこういう意図があるのかも?」という視点が生まれ、また違った見え方ができるのがおもしろい!

現代アートの鑑賞は、他者の考え方や見え方、価値観に触れる体験なのかなと感じました。

そう考えると、実は現代アートはとても身近なものなのに思えてきます。

なぜなら、他者の価値観に触れる行為というのは、日常のコミュニケーションの中にあるものだから。

作品に込められた想いを汲み取ろうと考えてみたり、それによって自分の考え方がハッキリしてきたり。

作品を通じての対話だと考えると、変に身構えることなく、気軽に楽しめる気がしませんか?

なお、「アートフェスティバル」のInstagramには創作過程などが投稿されています。

そちらを見るとより作品の背景を知れて、さらに違った見方で楽しめるかもしれませんよ。

秋晴れの心地よい季節です。

まずは散策がてらでも、気楽に足を運んでみてください。

石橋文化センター アートフェスティバル2024

【日時】2024年11月2日(土)〜11日(木) 10:00〜17:00

【場所】石橋文化センター(福岡県久留米市野中町1015)

【料金】入場無料

【Instagram】https://www.instagram.com/ishibashi_art_project/

【ホームページ】https://www.ishibashi-bunka.jp/event/artfestival2024/

【問い合わせ】石橋文化センター(0942-33-2271)

※2024年11月現在の情報です。

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