ローランギャロス(全仏テニス)3回戦で見せた、錦織圭の強さの秘密と、猛省したあるポイントとは!?
4時間26分に及んだ5セットの激闘を制した瞬間、錦織圭は、コーチたちがいる方へ向かって、両手を上げて満面の笑顔になった――。
ローランギャロス(全仏テニス)2回戦で、第7シードの錦織圭(ATPランキング7位、5月20日付)は、3回戦で、第31シードのラスロ・ジェレ(32位、セルビア)を、6-4、6-7(6)、6-3、4-6、8-6のフルセットで破り、5年連続で6回目のベスト16進出を決めた。
2セットオールで迎えたファイナルットで錦織は、第1、3ゲームをブレークされて0-3と劣勢となった。
「多少動揺はありましたけど、チャンスを待つしかないかなと。多少相手が疲れていたのも感じていたし。しっかり自分のプレーを続けていればチャンスは来るだろうな、と」
錦織は、ファイナルセット第4ゲームでブレークバックして反撃に転じる。
「ワンブレークしてからさらに気持ちも入っていたので、戻せるんじゃないかとずっと思いながらプレーしていました」と振り返る錦織は、第8ゲームもブレークバックして土壇場で追いついた。そして、第14ゲームでつかんだ最初のマッチポイントをものにして、錦織が勝利を収めた
錦織に対してウィナーを58本決めたジェレだったが、ミスを64本犯した。一方、錦織は48本のミスをしたが、フォアのウィナー20本とバックのウィナー16本を含む合計48本のウィナーを決めた。
これで5セットをフルで戦った時の錦織の成績は、22勝6敗になった。フルセットでの強さを錦織は、自分の集中力が落ちないことを挙げる。
「ファイナルに(集中力が)上がって来る気がする。あきらめないことが一番大きな力になったのかなと思います」
反省点もあった。第2セット第7ゲーム40-0からサービスブレークを許した。続く第8ゲームは、15-40にしてブレークバックのチャンスを握りながら相手にサービスキープを許した。
錦織は「ちょっと粗い、雑なポイントが続いてしまったので」と猛省した
「その場面は一番忘れたいところでしたけど、今日反省しないといけない一番のポイントだったと思います。ああいうところをきっちり取っていれば、3セットで終わっていたかもしれない。あのゲームを(相手に)あげてしまったことによって、ファイナルにいった可能性もある」
第2セットのタイブレークでは、錦織は1回セットポイントを握りながらこれも取りきることができなかった。第2セットを取れていれば、ストレートで錦織が勝利していたかもしれない。
グランドスラム第1週に、なるべく体力を消耗しないでストレートで試合に勝ち、大会を勝ち上がることは、錦織が課題にしていることで、今後の戦いでも実践していかなければならない。
4回戦で、錦織はベノワ・ペール(38位、フランス)と対戦する。対戦成績は、錦織の6勝2敗で、2018年ローランギャロスで対戦した時には、錦織が5セットで勝った。
ペールは、前哨戦のATPリヨン大会で優勝し、好調を維持して今回ローランギャロスで初めてベスト16に進出してきた。
「グランドスラムを戦う時は、本当に1試合ずつなので、あんまり先は見ていないです。次も大変な相手ですし、(2回戦に続いて)またフランス人。トリッキーなプレーヤーなので。今はリカバリーをしっかりすることと、次の試合に向けて気持ちを整理していくことが大事かなと思います」
錦織の4回戦は、6月2日に行われる予定だが、曲者であるペールには、心身共に100%の状態で臨みたい錦織が、どんなテニスを見せてくれるのか注目したい。