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山ノ内勇登:日本代表でパリ五輪に出場することは夢の実現。サイズと万能さを武器にメンバー入りを目指す

青木崇Basketball Writer
207cmの身長とシュート力が魅力の山ノ内 (C)Takashi Aoki

 5月のデベロップメントキャンプから日本代表の合宿に参加している山ノ内勇登は、沖縄で行われた昨年のFIBAワールドカップをこんな思いで見ていた。

「大学で観戦してましたけど、ワールドカップに出たかったと思っていた分、モチベーションが上がりました。出場できなかったことで、僕はオリンピック・チーム(のメンバー)に入るために毎日ジムでトレーニングを続けていました。今年はオリンピックチームに入る最高のチャンスがあります」

 ポートランド大での昨季、山ノ内は故障もあって12試合の出場に限定され、2月18日のペッパーダイン大戦を最後に実戦から離れている。しかし、207cmの身長は今の日本代表にとって大きな魅力であり、ラマー大時代の一昨季に6回、昨季も1回、得点とリバウンドが2ケタのダブルダブルを記録。昨季の3P成功率が35.6%ということでも、スペースを大きく広げたい日本代表のスタイルにフィットできるビッグマンなのは間違いない。2024-25シーズンをネバダ大でプレーすることが決まっている山ノ内は、日本代表でどうフィットするかについて次のように語った。

「ホーバスコーチのシステムではシュートや万能さなど、自分の強みをすべて生かせると思っています。ディフェンスではスイッチをさせてくれるので、ガードも防御するということを示すことができる。彼のシステムを気に入っているし、本当にフィットしていると思います」

 改めて日本代表に何をもたらしたいかという質問に対し、山ノ内は小さなことを含めて自分の役割を全うすることだと強調する。

「ディフェンスとリバウンド、オープンのショットを着実に決めること、ちょっとしたことをとにかくやるだけ。(八村)塁といった得点を狙う選手がいるのはわかっているので、小さなことをしっかりやって一生懸命にプレーするだけです」

ホーバスコーチの現役時代の写真を見る山ノ内、ジェイコブス、金近 (C)Takashi Aoki
ホーバスコーチの現役時代の写真を見る山ノ内、ジェイコブス、金近 (C)Takashi Aoki

 今の代表合宿に参加している他のメンバーに比べると、山ノ内がホーバスコーチが構築してきたシステムの理解度で少し遅れていることは否定できない。しかし、他の似たようなサイズの選手よりも動きで自信を持っており、代表合宿を通じて万能なビッグマンであることを証明しようとしている。

 もちろん、ガードやウイングの選手だけではなく、メンバー入りを目指した競争はビッグマンもレベルアップ。それは、FIBAアジアカップ予選のグアム戦でいい仕事をした19歳の川島悠翔(NBAグローバルアカデミー)が、合宿の途中でメンバーから外れたことでも明らかだ。

 ホーバスコーチが16人程度に絞るとしている北海道でのオーストラリア戦で出場機会を得ることができれば、山ノ内にとっては自身の存在価値を高める絶好の機会。ハードワークの継続と自分の仕事をしっかり遂行し続けることが、パリ五輪出場という大きな夢を実現するためのカギになるだろう。

「(日本代表でプレーするのは)夢が叶うということ。僕は今までここまで来たことがありませんでした。いつもカットされていたので、今回ここまで来られたのがうれしい。ここまで来られるように努力してきましたし、この場にいることに値することもわかっていますので、最後までやり遂げられたらいいなと思っています」

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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