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2018年「スーパーマーケット・トレードショー」開催 寺岡精工のロス問題への取り組みとは

池田恵里フードジャーナリスト
幕張で開催される「スーパーマーケットトレード‐ショー」(筆者撮影)

今年も開催、「スーパーマーケットトレードショー」

今年も「スーパーマーケットトレードショー」が開催されている。

開催日は2018年2月14日から16日である。

開催規模として

出展者数2197社

団体3457小間(食糧新聞参照)。

毎年、来場するたびに来場者が増加していることが皮膚感覚でわかるほどの盛況ぶりであり、そして開催される「スーパーマーケットトレードショー」の展示ブースを見ることで、各社の取組みが見えてくる。

今回は食材ロス、人手不足、そして高齢化に伴って起こる問題点などに各企業が明確に打ち出していた。

なかでも”食品廃棄ロスは、コスト抑制・削減に向けた取り組みのNO1に挙げられた企業が7割となっており、それを実現するために可能な限り利用顧客に負担がなく、かつ競争力を失わない試み”が求められていると言う(帝国データーバンク「スーパーマーケット経営企業における採算性実態調査2017年参照)。

そこで計量器、POS管理で知られる寺岡精工のロス削減への試みについてお話を伺った。

寺岡精工の試み

寺岡精工は、秤の製造販売から始まり、1934年(昭和9年)に創立され歴史は古い。現在は、「流通小売」、「食品製造・加工」、「製造・物流」、「飲食・専門店」といった4つのビジネスフィールドで様々なソリューションを提供している。国内外に製造拠点を構え、世界146カ国に販売・サービス網を展開。最近では人手不足を解消するセミセルフレジやクラウドシステム、POSと計量器の連動でチャンスロスや廃棄ロスを削減するシステム、ノントレー包装機、水道水をろ過する地球にやさしい純水自動販売機などを手掛け、新しい常識を創造している。

そこで包装環境事業部の寺岡由紀さん(以下寺岡さん)から、ごみの発生抑制対策として「環境NAVI」と、ペットボトルの最適なリサイクルを推進する、小型ペットボトル減容回収機「Bottle Squash(ボトル スカッシュ)」についてお話を伺った。

「環境NAVIについて」

池田「環境NAVIについて、どのようなシステム、機械なのでしょうか」

寺岡さん「環境NAVIとは、計りを利用して、「どこから」「どんなごみが」「どれだけ」排出されているのかを、簡単かつ正確に量り、分析に役立てるシステムです。ごみの排出量を減らしたいけど、何をすれば良いのかわからないという悩みを解決するための仕組みです」

これまでのスーパーでは、どの部門でどれだけの量のごみが発生しているのかを把握することはあまりなされていなかった。各部門別に発生する量、種類などをデーター管理することで、次なるごみ問題の解決する糸口になると言われる。

環境NAVI
環境NAVI

流れとして

1集積場にごみを運ぶ

    ↓

2「環境NAVIコントローラ」で部署名、ごみの種類を登録

    ↓

3専用スケールでごみを計量する

    ↓

計量されたごみを「環境NAVIコントローラ」で登録されたごみの種類を選び、バーコードスキャンで呼び込む。

分別内容(一例 ○○店舗の重量)のラベルが出てきて、それをごみパックに張り付ける。

図でわかりやすく説明すると

環境NAVI 使い方の流れ
環境NAVI 使い方の流れ

勿論、これを集計したデーターは各店舗や部門、そしてテナントの集計データーを自動的に本部に転送できるようになっており、これまで一つ一つ人による手作業で行っていたものが大幅削減できるのである。

ちなみに総合スーパーのアピタやピアゴを営むユニーでは、既に230店舗導入されているとのこと。

導入前は、代表的な店舗で分別したごみを体重計で計量し、統計処理で全店の総廃棄量を推計してきた。だが廃棄物計管理システム「環境Navi」が導入されてからは、すべての分別ごみが正確に測定されるようになった。もちろん、記録もされている。各テナントにとって廃棄物が増えれば処理費の負担も増える。コストダウンするには廃棄量を減らすことが第一であり、それが大幅な減量につながった。廃棄物計量管理システムは230店に及ぶユニーグループに設置、その情報はネット経由でリアルタイムに本部に届けられるので、集計や分析にも役立っている。

出典:商業界「エコストアをつくろう!」2010年7月号臨時増刊 販売革新編集部編

そしてユニーではごみを19種類分別しており、リサイクルの推進化を進めているとされる。

ペッドボトル圧縮機 セブン-イレブン300店舗導入決定

寺岡精工では小型ペットボトル減容回収機「Bottle Squash(ボトル スカッシュ)」の提案も積極的である。

店頭設置型ペッドボトル圧縮機
店頭設置型ペッドボトル圧縮機

クラウドで利用実績を管理し、ペッドボトル本体を1/3に圧縮し,コンパクト化されたことで1回のペットボトルの輸送量が3倍となり、物流コストが大幅削減できると言われる。

万遍なく圧縮されたペットボトル
万遍なく圧縮されたペットボトル
圧縮される前と後の比較
圧縮される前と後の比較

圧縮されたペットボトルも非常によくできている。通常、圧縮する際、飲み口の部分が本体と切り離されてしまう。この部分は他の部分よりも肉厚でペットボトル重量が大きいため、運搬時に欠落してしまうとリサイクル会社に資源売却する際、全体の資源価値が下がってしまうことになる。

そこで飲み口部分を残したまま圧縮できる構造になっている。

ちなみにセブン-イレブンは11月29日にニュースリリースでこの回収機の設置店舗を拡大することを発表した。

リユース・リサイクルの促進

セブンーイレブンの自動回収機
セブンーイレブンの自動回収機

株式会社セブン-イレブン・ジャパン(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:古屋 一樹)は 12 月より、ペットボトル回収機の設置店舗を、東京都と埼玉県のセブン‐イレブン計 300 店舗に 順次拡大いたします。 ペットボトルの消費量は年々増加しており、資源の有効活用が課題となっています。当社では、2015 年12月より、東京都江東区内の5店舗でペットボトル回収機の設置テストを実施してまいりました。 今回の取り組みを機に、国内での循環をさらに推進するために、店頭回収機に集まったペット ボトルを再生し、もう一度ペットボトルに戻す「ボトル to ボトル」を目指してまいります。 当社は、今後も店舗に集まるペットボトルを資源として、地域社会と一体になったリサイクル活動 に継続的に取り組み、“循環型社会”の実現に貢献してまいります。

出典:ペットボトル回収機の設置拡大 ~12 月より東京都と埼玉県のセブン‐イレブン計 300 店舗に順次設置~

セブン‐イレブンのリサイクルの流れ
セブン‐イレブンのリサイクルの流れ

企業の取り組みとして

寺岡さん「世界に目を向けると、フランスでは、スーパーマーケットが売れ残った食品を廃棄処分することを禁止する法律を制定して食品の無駄を減らす取り組み行い、ドイツや北欧では飲料容器のデポジット制を導入しリサイクルを推進しています。でも、ヨーロッパが進んでいて、日本は遅れているかというと、私はそうは思っていません。日本人のものを大切にする精神や、リサイクルに対して真面目に取り組む姿勢は、世界に誇れると思います。食品ロスや資源の適切なリサイクルに関連する問題は、地球全体の問題ですが、各国はそれぞれ独自のやり方を持っています。ですので、私どもの日本のお客様の3Rへの取り組みを日本におけるひとつのケースとして、今後、他の国にも知って頂けたら幸いと思います。そして、これからも、もっと良い製品をつくり、私どもの製品を使って頂くことで、循環型社会や持続可能な社会に少しでも貢献することが、私どもの企業としての使命だと思っております。」

最後に、「環境に対する取り組みは企業のブランドを上げるとか、慈善活動といったことではなく、持続可能な社会を形成するために、ごく自然なことなのです。」と言われたことも印象深い。

最後にお忙しいなか、多くの資料、お話、本当にありがとうございました。

フードジャーナリスト

神戸女学院大学音楽学部ピアノ科卒、同研究科修了。その後、演奏活動,並びに神戸女学院大学講師として10年間指導。料理コンクールに多数、入選・特選し、それを機に31歳の時、社会人1年生として、フリーで料理界に入る。スタート当初は社会経験がなかったこと、素人だったこともあり、なかなか仕事に繋がらなかった。その後、ようやく大手惣菜チェーン、スーパー、ファミリーレストランなどの商品開発を手掛け、現在、食品業界で各社、顧問契約を交わしている。執筆は、中食・外食専門雑誌の連載など多数。業界を超え、あらゆる角度から、足での情報、現場を知ることに心がけている。フードサービス学会、商品開発・管理学会会員

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