なぜ、東京は梅雨入りしないのか
なぜ、東京は梅雨入りしない? そのわけは走り梅雨と上空の風にあった。例年、5月中旬は天気がぐずつきやすい。今後は上空の風が変わり、晴れる日も。梅雨入りは今月28日以降になりそうだ。
日照時間はわずか1時間半
今年は梅雨前線の北上がとても早い。九州から東海地方にかけての梅雨入りは平年と比べ3週間ほど早く、異例の梅雨入りとなりました。次は関東甲信地方と思いきや、なかなか梅雨入り発表がありません。東京では16日(日)から20日(木)までの5日間の合計日照時間が1時間半です。時折、雨がぱらつく毎日で、これを梅雨と呼ばず、何を梅雨と呼ぶのでしょう。
季節に区切りは無理がある
梅雨は5月上旬に沖縄から始まり、7月下旬の東北北部で終わる、長く続く気象現象で、梅雨を5番目の季節と呼ぶこともあります。季節は移ろいゆくというように、通り過ぎてからわかるもの。それをこの日からと区切るのは元から無理があります。人が勝手に決めたことに、天気が合わないのは当然です。
この時期のぐずつく天気を何と言う?
それは東京の日照時間をみるとわかります。こちらは5月から6月まで、旬ごとにみた日照時間(平年値)のグラフです。5月中旬に少しだけ日照時間が減少しています。
年によって違いますが、この頃、くもりや雨の日が多くなります。これを本格的な梅雨に入る前のぐずついた空模様「走り梅雨」と言います。今年は本当の梅雨と勘違いするほど、走り梅雨がはっきりしているのかもしれません。
そして、例年では5月下旬に天気がいったん持ち直します。どうやら、今年もそうなりそうなのです。
上空の風が梅雨を連れてくる
物事の情勢が変わることを「風が変わる」と言いますが、東京の梅雨入りも風が関係しています。こちらは九州から東海地方が梅雨入りした頃の上空の風の流れを示した図です。
暖色は上空の高気圧、寒色は上空の低気圧を示し、それをつなぐように風が流れています。着目したのは2つの風です。ユーラシア大陸を日本に向かって流れる風(1)とインドから日本に流れる風(2)が日本付近で合流し、強まった高気圧が梅雨前線を押し上げました。
一方、こちらは今月末にかけての予想図です。
日本付近に着目すると、先ほどとは逆の低気圧(寒色)になっています。そのため、上空の風は本州の南を流れ、梅雨前線が南下することを示しています。
これで東京の走り梅雨は終わり、来週は晴れる日が多くなりそう。そして、28日(金)頃から再び、天気がぐずつき始め、本当の梅雨がやってきます。
【参考資料】
気象庁:1か月予報(5月22日~6月21日)、2021年5月20日発表