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宮内庁が秋篠宮家に関する週刊誌報道に怒涛の反論。応酬は今後どうなる?

篠田博之月刊『創』編集長
発端となった『週刊新潮』1月20日号(筆者撮影)

悠仁さんの高校進学をめぐる踏み込んだ報道

このところ、宮内庁が週刊誌報道に相次いで苦言を呈している。特に1月24日の週には宮内庁長官の定例会見を含め、発言が相次いだ。いったい何が起きているのか検証すべき事態だと思う。

 きっかけは『週刊新潮』1月20日号(1月13日発売)だった。もともと同誌の皇室報道は他誌が書かない領域まで踏み込むことが多く、定評がある。その号のトップ記事「悠仁さま『筑附高』進学で『皇室特権』批判の危機」も、恐らく関係者の間で波紋を呼んだのではないだろうか。

 2021年末頃より女性週刊誌でも悠仁さんの高校進学をめぐって進学先が取りざたされていた。『週刊新潮』の記事によると、現在通っているお茶の水女子大附属中学校の近くの筑波大附属高校(筑附)が本命視されているという。現在の警備体制がそのまま継続できるといった利点もあるらしい。

 そして同誌は、筑波大とお茶の水女子大が2017年から導入した「提携校進学制度」によって悠仁さんは筑附に進学するのではないかと書いている。

 問題はその先で、匿名の人物がこう証言している。

「この制度が新設されたのは、悠仁さまが中学進学を控えておられた時期。一部では、お子さまを筑附中に進学させたい紀子さまのご意向が働いたのではないか、と噂されました」

「今回、改めて注目を集めるこの制度は、5年間の時限的な試みとされ、ちょうど悠仁さまの高校進学のタイミングをカバーしている。それゆえ、この制度を使って進学すれば、”皇室特権”との批判が生じかねないのです」

 記事では悠仁さんの名門幼稚園入園にも”特別入学制度”がその一年前に設けられたことを指摘し、「一度ならず二度までも。(略)”悠仁さまシフト”と疑われても仕方があるまい」と書いている。つまり悠仁さんの進学にあわせて特別な制度が整えられているのではないかというわけだ。

 十分あり得る話だが、これがどのくらい妥当な指摘なのか判断できる材料がない。ただ日ごろから皇族だからと特別扱いされることに反対の意思を表明しているのが秋篠宮だから、この指摘が関係者にとってイヤーなものであることは間違いない。

「果たして宮内庁は反論するのかどうか」

 私は東京新聞の連載で上記の話を紹介した後、最後にそう書いた。

宮内庁から相次いだ週刊誌報道への苦言

 しかし、直後に宮内庁は何の反応も示さなかった。気にしていて対応を協議していたのは確かだろう。そのまま収まってしまえば黙認という対応になったかもしれない。

 ところが『週刊新潮』に続いて翌週には女性週刊誌が次々と取り上げた。『女性セブン』2月3日号(1月20日発売)など「悠仁さま『試験スルーで合格』紀子さまの高笑い」という『週刊新潮』以上の刺激的な見出しをつけていた。内容的には最初に報じた『週刊新潮』ほどのインパクトはないのだが、そんなふうにその見方が拡散していくことを関係者が危惧したのだろう。

 その後、週刊誌報道に対する宮内庁の苦言というか牽制が怒涛のように続いている。

 最初は1月24日、秋篠宮家を支える宮内庁の加地隆治・皇嗣職大夫による「憶測に基づく報道はいかがなものか」という苦言だった。どうやらその前、21日の定例会見で記者からそれについての質問が出たらしい。なかなか微妙な問題であるため、宮内庁側はその場で即答はせず、週明けの24日に見解を出したようだ。

 続いて27日の西村泰彦宮内庁長官の定例会見でも、こう苦言が呈された。「受験期を迎えている未成年者の進学のことを毎週のように報道し、憶測に基づくと思われる記事も見られるのはいかがなものか」

 さらに28日には前出の加地皇嗣職大夫の定例会見では、次女の佳子さんの結婚報道についても「遺憾であると思う」という発言があった。

 確かに佳子さんについても『女性自身』2月8日号(1月25日発売)の「佳子さま『私も愛に生きる』眞子さん讃歌に秘めた脱皇室」、『週刊文春』2月3日号(27日発売)の「囚われのプリンセス佳子さまは高3で豹変した」など報道が続いている。

佳子さんをめぐる『女性自身』『週刊文春』の報道(筆者撮影)
佳子さんをめぐる『女性自身』『週刊文春』の報道(筆者撮影)

 特に後者の『週刊文春』では、学習院大学時代にグループ交際で知り合った男子学生に交際の申し込みを行ったといった具体的な話まで書かれていた。恐らくこうした踏み込んだ報道に、当の佳子さんが苦言を呈し、28日の会見での「遺憾」コメントになったのだろう。

 ただ実は愛子さんについても「愛子さま『ご結婚相手』深謀の候補者リスト」(『女性セブン』1月20・27日号)などと、この間、週刊誌ではかなり踏み込んだ報道が増えている。それなのに宮内庁の苦言が秋篠宮家報道に集中しているのは、眞子さん結婚騒動めぐる経緯があるからだろう。特に佳子さんは、これまでも週刊誌報道に対しては不信の念を表明してきた。

宮内庁のメディア対策はどうなる?

 思い起こせば、2021年11月の秋篠宮誕生日会見で大きな問題になったのが、眞子さん結婚騒動をめぐる報道のあり方で、その時、秋篠宮は、事実と異なる報道に対処する「基準づくり」にも言及した。宮内庁もその時、情報発信のあり方を研究していくとコメントしていた。それが現実になったのが今回の秋篠宮家をめぐる週刊誌報道への反論なのだろう。

 周知のように宮内庁は公式ホームページに「皇室関連報道について」というページを設け、週刊誌報道などに対するコメントを掲載してきた。しかし、そのページは「週刊新潮12月24日号の記事について(令和2年12月18日)」を最後に更新されていない。メディア対応を研究するとしたものの、具体的にどうするかは決まっていないようだ。

 そこへ今回の一連の週刊誌報道への対応だ。恐らくこれを機に報道対応をどうするか宮内庁で検討が進むのではないだろうか。

 昔、週刊誌の皇室報道に対して皇族や宮内庁が具体的にコメントすることがあまりなかった時代は「皇室が裁判に訴えるなどできないなら代わって俺たちが…」と右翼団体が出版社などへ街宣車を連ねて押し掛けるというのが続いていた。報道のどこがどう違うのかという話でなく、批判的な報道自体が「不敬だ」という理屈で、皇室タブーが形成されていたのであった(詳細は拙著『皇室タブー』参照)。

 それに比べると宮内庁が報道についてここは誤りだと指摘する方がましなのだが、ただそもそも皇室をめぐってはいまだに「菊のカーテン」が支配しており、そもそも宮内庁は宮内記者会加盟社以外のメディアには公式には取材にも応じようとしない(それゆえ週刊誌報道には、関係者の匿名コメントがあふれるのだが)。まだまだ「開かれた皇室」にはほど遠いのが現実だ。

 今回の秋篠宮家の報道をめぐる応酬で、果たして何か新しい形が出てくるのだろうか。

『サンデー毎日』が指摘した佳子さんの発言

 そのほか最近読んだ週刊誌報道で興味深かったものをついでに紹介しておこう。

『サンデー毎日』2月6日号掲載の森暢平成城大教授の「社会学的皇室ウォッチング!」だ。それによると、佳子さんが2021年10月10日の日本のガールスカウト運動100周年を祝う「国際ガールズメッセ」の式典に宮廷からオンライン参加し、メッセージを発したという。  

『サンデー毎日』2月6日号(筆者撮影)
『サンデー毎日』2月6日号(筆者撮影)

 日本がジェンダーギャップ指数で156カ国中120位にとどまったことを「とても残念なこと」とし、「ジェンダー平等が達成され(略)それが当たり前の社会になることを切に願います」という内容だ。

 言うまでもなく皇室というのはジェンダー平等が遅れている最たるものだが、大学教育を受けた佳子さんがその現実に疑問を抱いているのは明らかで、姉の眞子さんとともに、そこからの自由への脱出を学生時代から願っていたと報じられている。

 だからジェンダー平等を求めるメッセージを公式の場面で発していたというのは、かなり意味深だ。ネットで検索してみると、佳子さんがメッセージを寄せたことは報道されているが、森教授の指摘する箇所にあまり注目がなされないままスルーされていたようだ。

 でも実際は、皇室の現状を理解する上でかなり重要であるように思う。

月刊『創』編集長

月刊『創』編集長・篠田博之1951年茨城県生まれ。一橋大卒。1981年より月刊『創』(つくる)編集長。82年に創出版を設立、現在、代表も兼務。東京新聞にコラム「週刊誌を読む」を十数年にわたり連載。北海道新聞、中国新聞などにも転載されている。日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長。東京経済大学大学院講師。著書は『増補版 ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)、『生涯編集者』(創出版)他共著多数。専門はメディア批評だが、宮崎勤死刑囚(既に執行)と12年間関わり、和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚とも10年以上にわたり接触。その他、元オウム麻原教祖の三女など、多くの事件当事者の手記を『創』に掲載してきた。

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