「死刑囚表現展2024」出品の寝屋川事件・山田浩二死刑囚の作品にはいろいろな意味で驚いた
11月2~4日に都内の松本治一郎記念会館で「死刑囚表現展2024」が開催されている。年を追うごとに反響が広がっており、今年も共同通信や朝日新聞が紹介記事を配信している。特に下記・共同通信の記事はとても詳しい。
https://news.yahoo.co.jp/articles/92a84d8148142e91f37b44d7a00584e30bc5d0a5
45人死傷の植松死刑囚が色紙いっぱいに描いた作品 死刑囚15人の心境や性格を垣間見る表現展
反響の拡大に伴ってこの何年か入場者も増え、作品の前に行列ができる光景も珍しくなくなった。特に長い行列になるのは寝屋川事件・山田浩二死刑囚の作品だ。というのも、何しろ出品点数が多いのと、イラストにたくさんの文字が書き込まれていて、読むのに時間がかかるためだ。
寝屋川事件といっても、すぐに思い出せない人もいると思うが、2015年8月、中学1年生の男女が寝屋川駅前から行方がわからなくなり、遺体で発見された事件だ。あどけない中1男女の最後の姿が何度もテレビで映され、多くの人が涙した。逮捕され裁判で死刑判決が出された山田浩二死刑囚は、判決の後に私の編集する月刊『創』(つくる)に何度かにわたって手記を掲載。現在も毎号、『創』を愛読している。
「がんで死ぬか、死刑が先か」
その山田死刑囚の「死刑囚表現展2024」出品作は相当な点数にのぼるのだが、その中に『創』関連の作品も数点ある。会場ではゆっくり見ている余裕はないと思うので、ここで紹介しよう。11月7日発売の『創』12月号には、そのほかやまゆり園障害者殺傷事件の植松聖死刑囚の作品など多くの作品を紹介している。
冒頭に掲げたのは「My week life~僕の一週間~」という作品で、山田死刑囚の大阪拘置所での週間の行動日程が描かれているものだ。そして下記は「CRY~俺の声、届かなかったか白壁に…~」という作品。
白壁というのは名古屋拘置所のある地名で、実はそこに勾留されていた山田(旧姓・松井)広志元被告と彼は養子縁組を行っていた。養子縁組によって同じ山田姓になったのだった。山田広志氏は、拘置所でステージ4のがんが見つかるとともに、裁判で死刑を宣告され、「がんで死ぬか、死刑が先か」という心情を『創』でも書いていたし、支援者に協力によってnoteでも公表していた。
実際にはがんの方が先で、彼は2023年12月に亡くなった。控訴審の判決公判は1月の予定で、結局、死刑よりもがんの進行の方が早かったわけだ。
「読みながらめっちゃ泣いた」
今回、山田浩二死刑囚の出品作品によって私が知って驚いたのは、彼が山田広志元被告が亡くなったのを知ったのは、何と『創』2024年2月号の記事を読んでだったらしいことだ。
山田死刑囚は、それを知った哀しみを描いた作品を、今回、何点も出品している。文字が細かいので、死刑囚表現展会場で丹念に一つひとつ読んでいくのは大変だろうから、ここでその一部作品を紹介しよう。下記の作品名は「山田広志が最期まで大変お世話になった支援者の方達に感謝の気持ちとお礼を伝えさせてくださいー本当に有難う御座居ましたー」だ。
関連作品は何点もあり、山田死刑囚が養子縁組で家族となっていた広志氏の死にいかに衝撃を受けたかがわかる。
「表紙を勝手に創作してみた」
もうひとつ、これにも驚いたというか、クスッと笑ってしまったのは、山田死刑囚が『創』の表紙を描いたものだ。「死刑囚表現展2024応募作品」と表紙にあるのは、毎年11月発売の12月号に多くの死刑囚の出品作品を紹介しているからだ。2024年もそうなると予測して、その表紙を事前にイラストで描いたのだった。
ただ、彼の描いたイラストでは11月号とあるが、これは11月発売なので勘違いでそう書いたのか、そうでないのかよくわからない。
さらに驚いたのが、表紙が何と三浦春馬さん(右)と山田死刑囚の2ショットであることだ。「死刑囚表現展」会場では字が小さくて読めないと思うが、本人が書いてきたキャプションにこうある。「勝手に三浦春馬君と自撮りで2ショット! ちなみに春馬君とは誕生日が1日違い。同じ春の季節に生まれた縁」
春馬さんと山田死刑囚の2ショットというのにはびっくりした。春馬ファンたちがこれを見たらどんな反応をするのだろうか。
他の死刑囚の作品も「死刑囚表現展」でご覧いただきたい。やはり表現物を生で見るというのはリアリティが違う。下記記事にポスターが掲載され、地図もついている。
https://www.keiben-oasis.com/29607
11月2日から4日まで、死刑囚表現展2024を開催