大谷翔平とサルバドール・ペレスの共通点。本塁打王を獲得すれば「トミー・ジョン手術の経験者」では初
ア・リーグの本塁打トップ3に位置する3人、42本の大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)、39本のブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)、38本のサルバドール・ペレス(カンザスシティ・ロイヤルズ)のうち、大谷とペレスには共通点がある。2人は、トミー・ジョン手術の経験者だ。ともに右肘の靱帯を損傷し、大谷は2018年10月、ペレスは2019年3月に手術を受けた。時期は半年弱しか違わず、執刀医はいずれもニール・エルアターシュだった。
大谷とペレスのどちらか、あるいは両者が本塁打王を獲得すれば、おそらく、トミー・ジョン手術の経験者では初となる。調べた限りでは、手術を受けた後に本塁打王となった選手はいない。2017年6月に手術を受けたグレイバー・トーレス(ニューヨーク・ヤンキース)は、2019年に38本のホームランを打ったが、順位はア・リーグ6位だ。
ホゼ・カンセコは、本塁打王を2度獲得し、トミー・ジョン手術も受けている。けれども、本塁打王は1988年(42本)と1991年(44本)、手術は1993年の夏だ。ア・リーグ1位のホームランを記録した当時は、トミー・ジョン手術の経験者ではなかった。1993年の5月29日に、カンセコは初めてメジャーリーグのマウンドに上がり、1イニングを投げて3点を取られた。数日後に腕の痛みを訴え、6月23日まで出場したものの、その後は欠場した。復帰したのは、翌年の開幕戦だ。どうやら、登板前から腕に違和感があったにもかかわらず、監督には黙っていたらしい。ちなみに、最初に本塁打王を獲得した1988年は、リーグ4位の40盗塁も記録し、史上初の40-40を達成した。2度目の1991年は、セシル・フィルダーと本塁打王を分け合った。
ただ、カンセコは、1998年に46本のホームランを打っている。この時の順位は、ケン・グリフィーJr.(56本)とアルバート・ベル(49本)に次ぐア・リーグ3位ながら、本数は自己最多。また、現時点では――大谷やペレスに抜かれるまでは――トミー・ジョン手術の経験者によるシーズン最多だ。
なお、今回の記事は、ある方にネタをいただいた。数日前に書いた「大谷翔平を猛追するサルバドール・ペレスが本塁打王になれば、捕手何人目!? 5試合連続アーチで3本差に」に対し、「TJ経験者のホームラン王争いも史上初では」とツイートしてくださった。ありがとうございます。