定番和菓子のひとつ、最中。各店舗拘りの形、色、あんこ…最中種とあんこという実にシンプルな組み合わせゆえに、その表現方法は無限といっても過言ではありません。やっぱり王道が美味しい！とひとことで申しましても、王道は粒餡なのか？こし餡なのか？あんこの水分量は？大きさはなどなど…突き詰めていくのも楽しそうですけれどね。

さて、神奈川県横浜市。元町中華街や元町、ベイエリアなど国際色豊かで進化を続ける街。その街のオアシスのような和菓子屋さんである、2004年に創業なさった「香炉庵」さん。大通りの喧騒から一歩離れ、どことなくアットホームな雰囲気すら漂う街の中に暖簾を掲げる香炉庵さんは、地元の方が足繁く通う本店のみならず、そごう横浜や赤レンガ倉庫、さらにはJR東京駅に出店なさるほか、都内百貨店などでも販売される人気の高さ。

実は先日、偶然にも銀座三越にて、香炉庵さんブライダル限定の最中と遭遇することができました。

今回は香炉庵さんの人気商品でもあるまん丸な最中の「紅白もなか」をご紹介。

実は香炉庵さんには銘菓のひとつに「花元町」と申しまして、黄色や緑などカラフルな最中種に青梅やあんず、粒あんなど様々なあんこをはさんだ球体の最中が販売されているのです。横浜港に浮かぶ浮き玉に遊び心を加えたお菓子なのですが、今回購入したのは上下で色が異なる紅白の最中。中餡はこし餡です。

特徴のひとつに、ふんわりと空気を抱いた柔らかな最中種というのがあるかと思います。歯を立てるとしゅわしゅわと優しく受け止めてくれると同時に解けていくような繊細さ、そして立ち昇る香ばしさがポイントです。そして中のこし餡は、こっくりとしたまろやかさと口馴染みの良い滑らかさが印象的。口の中で溶けていく感覚を確かめながら、やや深みのある甘味をゆっくりゆっくりと味わって。

球体なので、ひとくちで味わうあんこの量はわりと多めかと思うのですが、飽きずにもうひとつ開封したくなるほど尾を引くでんすね、これが。

なんとなく帰り道に立ち寄ったデパ地下でしたが、思わぬ「おめでたい」和菓子との遭遇にほっこり。東京マラソンで混雑する銀座駅も、どこか軽やかに通り抜けることができました。

最後までご覧いただきありがとうございました。

柳谷ナオ