シリア北東部で米軍がロシア軍部隊の進行を再び妨害、シリア軍はトルコ軍の車輌を重火器で挑発
米軍がロシア軍部隊の進行を再び妨害
英国を拠点に活動する反体制系NGOのシリア人権監視団によると、ハサカ県のカーミシュリー国際空港に駐留するロシア軍部隊が、M4高速道路を通ってタッル・タムル町に入ろうとしたが、同町の入り口で米軍部隊に進行を妨害された。
ロシア軍部隊はタッル・タムル町に入るのを断念、ダルバースィーヤ市を経由してアブー・ラースィーン(ザルカーン)町に向かった。
一方、反体制系アカウントのハサカ・メディア・センターは、ロシア軍の車列が、カーミシュリー市からではなく、アレッポ市を発ち、タッル・タムル町に入ろうとしたところ、米軍のパトロール部隊の妨害を受けたと報じた。また北部通信社がフェイスブックのアカウントを通じてその映像を公開した。
映像はこちら!
ロシア軍の車列は、タッル・タムル町を迂回し、アブー・ラーシーン町、ダルバースィーヤ市、アームーダー市を経由してカーミシュリー市に向かったという。
シリア軍がアレッポ県でトルコ軍の車列を重火器で挑発
シリア人権監視団によると、シリア軍が9日、アレッポ県アターリブ市近郊にある第46連隊基地近くを走行中のトルコ軍の車輌複数輌に重火器を発砲した。
トルコ軍はシリア軍の挑発には乗らず、反撃しなかった。
これに関して、トルコ国営のアナトリア通信は、「シリア軍は2日前に(停戦が発効しているにもかかわらず)トルコ軍の車列に発砲した…。トルコ軍の別の部隊の近くにも砲弾3発を発射した」と伝えた。
イドリブ県で若干の停戦違反
シリア人権監視団によると、5日のロシア・トルコ首脳会談で合意された停戦が発効(5日深夜)してから4日目となる3月9日、シリア・ロシア軍、トルコ軍は爆撃を実施しなかったが、イドリブ県、ハマー県、アレッポ県で、シリア軍、「決戦」作戦司令室による若干の停戦違反が確認された。
「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(国民軍)などからなる武装連合体。
また、ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を7件(イドリブ県0件、ラタキア県5件、アレッポ県2件、ハマー県0件)確認したと発表した。
トルコ側の監視チームは停戦違反を1件(イドリブ県1件、ラタキア県0件、アレッポ県0件、ハマー県0件)確認したという。
トルコ軍と国民軍はアレッポ県北部を砲撃
クルド民族主義組織の民主統一党(PYD)に近いANHAによると、トルコ軍とその支援を受ける国民軍が、北・東シリア自治局とシリア政府の共同統治下にあるアレッポ県タッル・リフアト市近郊のシャイフ・イーサー村、アイン・ダクナ村、マルアナース村、マーリキーヤ村を砲撃した。
北・東シリア自治局はPYDが主導する自治政体。
(「シリア・アラブの春顛末記:最新シリア情勢」をもとに作成)