MVPとサイ・ヤング賞を、同じチームの野手と投手が独占!? 今年のドジャースはそのチャンスあり
同じシーズンにMVPとサイ・ヤング賞を受賞したチームメイトは、19組を数える。ここには、2014年のクレイトン・カーショウ(ロサンゼルス・ドジャース)のように、1人で両方を受賞したケースは含んでいない。ちなみに、MVPに選ばれながら、その年のサイ・ヤング賞を逃がした投手はいない。
今シーズンは、20組目のチームメイトが生まれる可能性も大いにある。ドジャースの2人、コディ・ベリンジャーとヒョンジン・リュ(柳賢振)がそうだ。
ベリンジャーは、打率.315がリーグ6位、37本塁打が3位、88打点は5位。出塁率.416とOPS1.068は2位に位置する。打点以外はいずれも、クリスチャン・イェリッチ(ミルウォーキー・ブルワーズ)の後塵を拝している上、イェリッチの23盗塁に対し、ベリンジャーは9盗塁だ。けれども、ライトの守備――2人ともポジションは同じ――においては、ベリンジャーが上回る。例えば、イェリッチのDRSは±0、ベリンジャーは+18。UZRもかなりの差がある。
リュは、奪三振率7.76こそ27位に過ぎないものの、与四球率1.06と防御率1.53は1位。特に、防御率は2位のマイク・スロカ(アトランタ・ブレーブス)より0.79も低い。イニングも奪三振も、スロカはリュより少ないので、現時点におけるリュの実際の「ライバル」は、防御率2.41で3位に位置するマックス・シャーザー(ワシントン・ナショナルズ)だろう。リュもシャーザーも、現在は故障者リストに入っているが、リュは8月11日に復帰する。一方、シャーザーは、戻ってくるまでにもう少し時間を要しそうだ。
これまでの19組を擁したチームのうち、ポストシーズンにたどり着けなかったのは、モーリー・ウイルスとドン・ドライスデールがそれぞれ受賞した、1962年のドジャースだけだ。この年のドジャースも、162試合を終えた時点では、101勝61敗でサンフランシスコ・ジャイアンツと並んでいたが、その後の3ゲーム・プレーオフで敗れた。ベリンジャーのMVPとリュのサイ・ヤング賞は確定していないが、今年のドジャースは、間違いなくポストシーズンへ進むだろう。地区2位のアリゾナ・ダイヤモンドバックスとワイルドカードの3番手にいるセントルイス・カーディナルスを、どちらも16ゲーム以上も引き離している。
ただ、MVPの野手とサイ・ヤング賞の投手――受賞者の発表はワールドシリーズが終わってから――を擁していても、ポストシーズンで勝ち進めるとは限らない。地区制がスタートしてからの13チーム中、ワールドシリーズ進出は半数以下の6チームにとどまる。ワールドシリーズ優勝は、1980年のフィラデルフィア・フィリーズ(マイク・シュミット&スティーブ・カールトン)と1988年のドジャース(カーク・ギブソン&オレル・ハーシュハイザー)しかない。さらに、直近の5チームは、ワールドシリーズに進むことなく敗退している。2006年のミネソタ・ツインズ(ジャスティン・モアノー&ヨハン・サンタナ)に至っては、ポストシーズンで白星を一つも挙げられずに姿を消した。
なお、ドジャースは、1988年を最後にワールドチャンピオンから遠ざかっている。