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レッドソックスは他球団のコーチを「引き抜いて」新監督に!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ルイス・ウルエタ(中央下)May 14, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

「サイン盗みスキャンダル」によって監督不在となった3球団のうち、ニューヨーク・メッツとヒューストン・アストロズの新監督は決まった。メッツでは、今オフに就任したばかりのカルロス・ベルトランに代わり、ルイス・ロハスがクオリティ・コントロール・コーチから監督に。アストロズは、A.J.ヒンチの後任として、ダスティ・ベイカーを招聘した(それについては「サイン盗みスキャンダルに揺れる球団の新監督は、あくまでも「つなぎ」に過ぎない!?」で書いた)。

 残る1球団、ボストン・レッドソックスにも、ようやく動きが出てきた。アレックス・コーラに代わる監督の候補として、アリゾナ・ダイヤモンドバックスのベンチ・コーチ、ルイス・ウルエタと面接を行うという。ESPNのエンリケ・ロハスが最初に報じた。それに続いたボストン・グローブのアレックス・スパイアーによると、レッドソックスはすでにダイヤモンドバックスの許可を得ているらしい。ウルエタの前にも噂に上った候補はいるが、具体的な動きはなかった。

 ウルエタがレッドソックスの監督となるかどうかはまだわからないが、球団に在籍したまま、コーチが他球団の監督候補として面接を受けることは珍しくなく、就任に至った例もある。例えば、ワシントン・ナショナルズのデーブ・マルティネス監督は、それまでシカゴ・カブスのベンチ・コーチだった。

 ただ、今回は時期が異例だ。スプリング・トレーニングが始まるまで、2週間を切っている。ウルエタがレッドソックスの監督に就任すれば、ダイヤモンドバックスは新たなベンチ・コーチを見つけるか、不在のままシーズンに臨むことになる。

 ルー・ピネラは、2002年10月にシアトル・マリナーズの監督からタンパベイ・デビルレイズ(現レイズ)の監督に転身した。今オフにカブスからロサンゼルス・エンジェルスへ移ったジョー・マッドン監督と違い、ピネラはマリナーズで任期を残していた。そのため、移籍はトレードによって行われた。デビルレイズはピネラ(とマイナーリーガー)を獲得する見返りに、ランディ・ウィンをマリナーズへ譲った。当時のウィンは28歳。センターのレギュラーで、2002年はオールスター・ゲームに選ばれた。

 ピネラとは時期も前職も異なるが、ウエルタウルエタを監督に据える場合、レッドソックスはダイヤモンドバックスに何らかの補償をする必要があるかもしれない。

 ウエルタウルエタは、コロンビア出身の39歳。元一塁手&外野手だ。メジャーリーグの試合に出場したことはなく、マイナーリーグやイタリアなどでプレーした後、2007年からはダイヤモンドバックスでコーチやマイナーリーグ球団の監督などを歴任してきた。2017年のWBCでは、チーム・コロンビアの指揮を執った。なお、メジャーリーグで監督を務めたコロンビアンは、これまで一人もいない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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