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シリア軍はイドリブ県に対する軍事作戦を準備しているとされるトルコ軍を攻撃、トルコ軍兵士5人死亡

青山弘之東京外国語大学 教授
(写真:ロイター/アフロ)

イドリブ県へのシリア軍の砲撃でトルコ軍兵士5人死亡

トルコ国防省は10日、トルコ軍部隊が展開するイドリブ県のタフタナーズ航空基地およびその一帯がシリア軍の砲撃を受け、兵士5人が死亡したと発表した。

シリア軍の砲撃に対して、トルコ軍は応戦し、シリア政府側の標的115カ所を攻撃、戦車などを破壊し101人を殺害したと主張した。

ロイター通信(2月10日付)が伝えた。

英国を拠点とする反体制系NGOのシリア人権監視団によると、トルコ軍兵士の死者は6人で、そのほか反体制武装集団の戦闘員4人も死亡したという。

アレッポ県ではシリア軍の爆撃でトルコ軍兵士多数負傷

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍戦闘機がアターリブ市近郊を移動中のトルコ軍の車列を爆撃し、トルコ軍兵士多数が負傷した。

一方、トルコ軍は、アレッポ市西部郊外の第46中隊基地に新たに展開した。

トルコはイドリブ県に対する新たな軍事作戦を準備

スプートニク・ニュース(2月10日付)は、トルコ国防省の軍事筋から得た情報だとして、トルコ軍がイドリブ県内でシリア軍に対する軍事作戦を準備していると伝えた。

しかし、作戦実施の最終決定は下されていないという。

一方、反体制系サイトのドゥラル・シャーミーヤ(2月10日付)は、トルコ軍司令部がイドリブ県での軍事作戦の延期を決定したと伝えた。

同サイトによると、作戦は「平和の支え」と名づけられ、緊張緩和地帯内(イドリブ県)のシリア政府支配地域に対して実施される予定だった。だが、8日のアンカラで行われたセルゲイ・ヴェルシネン外務副大臣を代表とするロシアの軍・諜報機関高官からなる使節団とセダト・オナル外務副大臣を代表とするトルコの軍・治安機関高官の会談を受けて、延期が決定されたという。

(「シリア・アラブの春顛末記:最新シリア情勢」をもとに作成)

東京外国語大学 教授

1968年東京生まれ。東京外国語大学教授。東京外国語大学卒。一橋大学大学院にて博士号取得。シリアの友ネットワーク@Japan(シリとも、旧サダーカ・イニシアチブ https://sites.google.com/view/sadaqainitiative70)代表。シリアのダマスカス・フランス・アラブ研究所共同研究員、JETROアジア経済研究所研究員を経て現職。専門は現代東アラブ地域の政治、思想、歴史。著書に『混迷するシリア』、『シリア情勢』、『膠着するシリア』、『ロシアとシリア』など。ウェブサイト「シリア・アラブの春顛末記」(http://syriaarabspring.info/)を運営。

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