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オートバイのあれこれ『三代目、90年代のインパルス。』

Rotti.モトエンスー(moto enthusiast)

全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。

今日は『三代目、90年代のインパルス。』をテーマにお話ししようと思います。

カワサキ『ゼファー』の登場によって幕を開けた、90年代のネイキッドブーム。

ゼファーの後を追うように、ホンダは『CB400SF』、ヤマハは『XJR400』をそれぞれリリースし、3社からネイキッドモデルが出揃ったところで、スズキも1994年(平成6年)、ついに対抗車となるオートバイを世に放ちました。

GSX400 インパルス』。

▲GSX400 Impulse〈1994/画像引用元:スズキ〉
▲GSX400 Impulse〈1994/画像引用元:スズキ〉

GSX400インパルスは、92年に登場した『GSX400S カタナ』のエンジンとフレームを使って、ネイキッドスタイルの外観に改められて生み出されました。

ここで少し脱線しますが、70〜80年代にバイク乗りになった世代なら「スズキのインパルス」と聞くと、1982年(昭和57年)デビューの『GSX400FSインパルス』や86年(昭和61年)登場の『GSX400Xインパルス』を想起する人も少なくないでしょう。

今回紹介しているGSX400は、それら『インパルス』の名を継いだ“三代目インパルス”といえます。

「インパルス」の名が初めて使われた『GSX400FSインパルス』〈1982/画像引用元:スズキ〉
「インパルス」の名が初めて使われた『GSX400FSインパルス』〈1982/画像引用元:スズキ〉

三代目インパルスのエンジンは、空冷風のルックスに仕立てられた水冷4バルブDOHCの4気筒エンジン。

もともとカタナの開発時に「レプリカ系とは異なる、公道での楽しみを優先しよう」ということで低中速重視のキャラクターに仕上げられていたエンジンですが、インパルスではこのエンジンにカタナよりも口径を絞ったキャブレターが組み合わされ、よりいっそう低速域が力強いエンジンフィーリングとなっていました。

▲GSX400S KATANA〈1994/画像引用元:スズキ〉
▲GSX400S KATANA〈1994/画像引用元:スズキ〉

また、フレームのほうもカタナ譲りの安定性が持たせられ、やはり公道における扱いやすさが優先されていました。

ただし、ハンドリング(旋回性)に関しては、カタナよりもいくらかシャープ(スポーティ)な味つけだったといえるでしょう。

というのも、カタナはフロントホイールがリヤよりも大きく、直進安定性が際立っていたものの、インパルスはレプリカモデル等でも定番化していた前後17インチとなっていたからです。

前後17インチホイールはクセの少ないニュートラルなハンドリングが特徴で、これがインパルスの乗りやすさに拍車をかけていました。

▲CB400SF〈1992/画像引用元:本田技研工業〉
▲CB400SF〈1992/画像引用元:本田技研工業〉

スタイリングデザインは、ゼファー等にも通ずるトラディショナルかつシンプルなもの。

ただ、その中にもキチンと個性は織り込まれていて、シャープなシルエットのゼファーとXJR、メリハリの効いたボリューミーなスタイリングのCB400SFに対し、インパルスはその間をいくような、シャープさとボリューム感を併せ持った独特の佇まいとなっていました。

▲2004年に復活した『Impulse 400』〈2004/画像引用元:スズキ〉
▲2004年に復活した『Impulse 400』〈2004/画像引用元:スズキ〉

インパルスはデビュー後、ライバルモデルたちとともにネイキッドブームを盛り上げ、99年に生産終了となりましたが、なんと5年後の2004年に『インパルス400』の名で復活を果たします。

2004年はすでにネイキッドブームも盛りを過ぎていたものの、それでも“スズキのインパルス”というネームバリューは強く、結局2008年まで生産が続けられました。

『インパルス』第一号のGSX400FSも、第二号のGSX400Xも短命に終わりましたから、第三号のGSX400は最終的に歴代インパルスの中で最も長寿なインパルスとなったのでした。

モトエンスー(moto enthusiast)

バイクを楽しむライター。バイク歴15年で乗り継いだ愛車は10台以上。ツーリング/モータースポーツ、オンロード/オフロード、最新バイク/絶版バイク問わず、バイクにまつわることは全部好き。

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