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日本の南で新たな熱帯低気圧が発生、ゆっくり北上もその動向がなかなかつかめず

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
雲の様子(ウェザーマップ)

台風11号は”特別警報級”で中国大陸南部に接近へ

台風11号の予報円(ウェザーマップ)
台風11号の予報円(ウェザーマップ)

台風の最新情報(気象庁発表)

強い台風11号は、南シナ海にあって、ゆっくりと西寄りに進んでいます。今後も31度以上ある暖かな海水温域を西進しつつ、中心気圧925hPa、最大瞬間風速70メートルの非常に強い勢力に発達し、中国大陸南部に接近する見込みです。この勢力は、先日鹿児島県に台風による特別警報が発表となった時に予想された勢力と同等ですから、接近、通過地域への影響が心配されます。

新たな熱帯低気圧はゆっくり日本の南を北上?

予想天気図(気象庁発表に筆者加工あり)
予想天気図(気象庁発表に筆者加工あり)

タイトル画像にある通り、台風11号の他に、日本の南には2つの熱帯低気圧があります。

このうち1の熱帯低気圧は、おととい2日(月)午前9時に発生したもので、小笠原近海を北上しています。上図の予想天気図にある通り、このあとも北上を続け、あす5日(木)からあさって6日(金)にかけて、関東の東を離れて北上したあと、日本の東で衰弱する見込みです。一時的に台風の勢力になる可能性もありますが、日本付近への影響はほとんどないでしょう。

一方、2の熱帯低気圧がきょう4日(水)正午に日本の南海上で発生しました。このあと予想天気図にある通り、あす5日(木)からあさって6日(金)にかけて日本の南をゆっくりと北上する見込みですが、その後の行く末がかなり不確実です。気象庁の予想では発達することなく、むしろ弱まる傾向ですが、諸外国の計算の中には、発達しながら北上することを予想する計算もあります。

またこの2の熱帯低気圧の西側の沖縄の南海上に別の熱帯低気圧が発生する可能性もあり、週末にかけて、日本の南海上は熱帯低気圧がどのような状態で推移するのか、なかなか読めない状況となっています。

ECMWFのアンサンブル予報ではゆっくり沖縄付近を西進か?

ECMWFのアンサンブル予報(ウェザーマップ発表)に筆者加工あり
ECMWFのアンサンブル予報(ウェザーマップ発表)に筆者加工あり

参考までにECMWF(ヨーロッパ中期予報センター)のアンサンブル予報が上図です。日本の南の小さな赤い丸は、主に熱帯擾乱(ねったいじょうらん)の中心を示しています。これによると、週末8日(日)午前9時には、日本の南で、小さな赤い丸が散らばるようにまとまっていて、その後、全体として、西進傾向を示し、沖縄付近から大陸方面を指向する計算が多くなっています。

また気になるのは、来週の週末14日(土)午前9時には、南から北上してきた熱帯擾乱とみられる赤い丸が沖縄の南にまとまっていて、赤い丸もやや大きく、発達していることを表しています。この強い熱帯擾乱は、その位置には大きな差があれど、諸外国の計算では、その多くが予想している状態です。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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