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藤井聡太棋聖、5連覇達成で永世棋聖に! 史上最年少21歳で永世称号の資格を獲得

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 7月1日。愛知県名古屋市「亀岳林 万松寺」において、ヒューリック杯第95期棋聖戦五番勝負第3局▲山崎隆之八段(43歳)-△藤井聡太棋聖(21歳)戦がおこなわれました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 9時に始まった対局は18時46分に終局。結果は100手で藤井棋聖の勝ちとなりました。

 藤井棋聖は3連勝でシリーズを制し、防衛。5連覇を達成しました。

 藤井棋聖は「棋聖通算5期」という条件をクリアして、史上6人目となる永世棋聖の資格を得ました。

 将棋界のこれまでの例では永世称号資格を持つ棋士が実際にその称号を名乗るのは、引退後か、現役中であれば五十代、六十代に入ってからでした。

 現在、永世棋聖の資格を保持する羽生善治九段(53歳)と佐藤康光九段(54歳)はまだ、その称号を名乗っていません。藤井棋聖も永世棋聖を名乗るのは、かなり先のことになりそうです。

 1971年、中原誠棋聖(当時23歳)は棋聖通算5期を達成し、永世棋聖の資格を得ました。これが全タイトル戦を通じての永世称号資格最年少記録でした。

 藤井現棋聖の21歳での永世称号資格獲得は、史上最年少記録となります。

 終局直後、藤井棋聖は次のようにコメントしています。

藤井「棋聖戦は初めてタイトルを取ることができた棋戦でもありますし。やっぱりいろいろ思い出も多いので、その棋聖戦で今回、永世称号を獲得できたことはすごくうれしく思います。(最年少での永世称号資格獲得)それはあまり意識していることではなかったんですけど。永世称号ということに関しては今回が最初のチャンスではあったので、それをつかむことができたのはよかったと思います。(永世棋聖資格者となったのは)それはもちろん光栄なことだと思っていますけど。同時に、今後の活躍がより問われるのかなと思っています」

 藤井棋聖は今期棋聖戦で24回目のタイトル戦番勝負登場となりました。叡王戦五番勝負では伊藤匠七段(現叡王)に敗れ、八冠から七冠に後退しています。史上最高記録を更新し続けていた連覇記録も、22でストップしました。しかし今期棋聖戦を制して、七冠を堅持。23期目のタイトル獲得となりました。

 15年ぶりのタイトル戦登場となった山崎八段は、惜しくも3連敗で敗退となりました。しかし久々の挑戦自体が大変な快挙です。藤井棋聖があまりに強かったため結果は出ませんでしたが、随所に独創的な「山崎ワールド」を見せていたのではないでしょうか。

 藤井棋聖と山崎八段の対戦成績は、藤井4勝、山崎1勝となりました。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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