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東京下町の人情味溢れる町中華【福福】皮から手作りの餃子がうまい

町乃華菜子町中華愛好家

JR小岩駅から徒歩5分ほどの場所に、昭和35年創業の町中華『福福』がある。小岩と言えば東京都江戸川区に位置し、江戸川と荒川に挟まれた下町情緒が残る住宅街である。駅前の商店街には新しい店も増えたが、昔から長く営業している個人商店や飲食店も数多く並ぶ。『福福』も小岩の人々に長らく愛されている店の一つだ。

現在、店を守っているのは二代目ママの陽子さん。初代は陽子さんの母で、職人と共に店を立ち上げた。陽子さんが店を継いでからはご主人のマスター征男さんと二人で店を切り盛りしている。『福福』では大将や女将さんではなく、マスターとママの愛称で呼ばれている。お二人の包み隠さぬ仲の良さや、ご夫婦の掛け合いが夫婦漫才だとお客からも評判だ。お二人に会うのを目当てで通う常連客もいる。

餃子は必食

餃子500円
餃子500円

店の暖簾に『餃子の店』の文字が目立つように、福福の餃子は他で食べられない個性的な味だ。皮は手延べでもっちりと柔らかく、餡は肉とキャベツをミキサーで刻んだ細かなペースト状のシンプルな餡だ。餃子全体がもっちりと柔らかく、他の店では食べたことのない独特な味と食感でクセになる。一枚では食べ足りず追加注文したくなるような旨さで箸が進む。創業から変わらない作り方を守り続けているそうだ。

餃子のタレに、唐辛子がたっぷり入ったピリ辛な自家製ラー油を入れて食べるのも旨い。

常連客に人気の焼豚

餃子と人気を二分する焼豚。町中華飲みの楽しみの一つではないかと思う。ハーフサイズから注文でき、脂の多い部分と赤身の部分を客の好みに合わせて盛り付けている。

焼豚脂ありハーフサイズ850円 お酒は20歳になってから
焼豚脂ありハーフサイズ850円 お酒は20歳になってから

焼豚の下にはさっと湯通ししたキャベツが敷かれ、ネギとカラシがたっぷりトッピングされている。上からかけられたタレは創業当時から継ぎ足し作られている店の味。

焼豚脂なしハーフサイズ850円 
焼豚脂なしハーフサイズ850円 

下町のソース焼きそば

中華料理店の焼きそばには醤油を使った上海焼きそばや、餡かけ焼きそばが多いが、福福では下町の王道とも言えるソース焼きそばが提供されている。

焼きそば850円 
焼きそば850円 

炒めた麺と細切りされた肉と野菜に、ソースの香りがふんわり立ち上る食欲増す一品だ。

細切り肉はブロック肉から手切りしている。店で使われているラードは自家製で、福福の料理は『手作り』にこだわっている。

シンプル玉子チャーハン

玉子チャーハン820円
玉子チャーハン820円

玉子チャーハン』は玉子を2つ使用し、ネギとグリンピースが具材のシンプルチャーハン。ラーメンと食べたくなるようなパラパラっとした仕上がりのチャーハンだ。他にカニや五目チャーハンなどもメニューにある。

東京ラーメン

ラーメン720円 
ラーメン720円 

福々のもう一つの顔の『ラーメン』は、醤油味のスープのいわゆる東京ラーメンだ。中細のやや縮れた麺に、すっきりとしたスープが旨い。麺の上には江戸川区の特産品の小松菜、チャーシュー、メンマ、ネギがのせられた王道の醤油ラーメンだ。

創業当時から変わらぬメニュー

店内メニュー表
店内メニュー表

創業当時のままのメニュー。定食やカレーといった昼営業が中心の町中華の定番メニューはない。福福は夜営業のみで、飲食店が立ち並ぶ賑やかな夜の小岩の街に合ったメニューが並ぶ。以前は朝の7時まで営業していたこともあったそうだ。(現在は22時まで)一軒目で餃子やチャーシューをアテに飲むのもよし、飲んだあとの〆のラーメンを食べに立ち寄るのもよい。

マスターは元々は洋食のコックで、福福の常連客だった。縁あってママと結ばれ、店に立つようになり45年が経つそうだ。ママが大病を患い4か月間ほど店を休業したこともあったが、今は元気で仲睦まじいお二人の姿が見られる。いつまでもお二人で店を守り続けてほしい。

【店舗情報】
福福
営業時間 17:00〜22:00
月曜日、金曜日定休
東京都江戸川区南小岩6丁目28−8
03-3673-9688

町中華愛好家

味わいある 『町中華』や食堂を巡る体験記。東京近郊の人気店から、常連客が通う隠れた名店を巡る。”日式中華”の文化や魅力、店主の想いを伝えて行きたい。Instagramで町中華での食事の記録を発信中。

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