早まる?東京の梅雨明け 太平洋高気圧がカギ
梅雨前線や台風の影響で、大雨が相次いでいる。今後、梅雨前線はさらに北上し、日本海沿岸に停滞する見通し。太平洋高気圧の強まりで、東京の梅雨明けが早まる可能性が出てきた。
鹿児島県で50年に一度の記録的な大雨
表紙の雲画像は22日(金)正午、梅雨前線の雨雲を捉えたものです。
九州と沖縄の間にはひときわ白く輝く雲が連なり、ごつごつとした雲の輪郭から、非常に背の高い、発達した雨雲であることがわかります。この発達した雨雲の影響で、鹿児島県十島村では20日(水)正午からの降水量が500ミリ近くに達し、50年に一度の記録的な大雨となっています。
ここで、今月の各地の降水量をみてみましょう。九州から関東甲信地方までの広い範囲で、降水量は平年並みまたは、平年と比べ多くなっています。
梅雨後半、雨の降り方は?
昨年7月5日、猛烈な雨が福岡県と大分県を襲いました。九州北部豪雨からまもなく一年です。
梅雨の後半は西日本で集中豪雨が頻発します。今年も発達した雨雲が連なる「線状降水帯」に警戒しなければならない時期がきました。
太平洋高気圧が徐々に勢力を伸ばすため、今まで以上に非常に湿った空気が本州付近に流れ込みやすくなります。とくに、梅雨前線付近やその南側は線状降水帯が発生しやすい場所です。
こちらは1か月予報を基に、来月上旬の梅雨前線と太平洋高気圧の位置を予想したものです。太平洋高気圧がさらに強まり、梅雨前線を日本海沿岸まで押し上げる可能性があります。
この場合、山陰、北陸、東北日本海側で大雨がより起こりやすくなるでしょう。九州北部豪雨が発生した昨年7月5日は島根県でも豪雨被害がありました。
昨年に限らず、近年は日本海側の地域で、記録的な大雨が相次いで発生しています。梅雨末期の降水量はこの100年で50%増加し、さらに増える傾向にあります。
東京の梅雨明けが早まる可能性も
東京では梅雨の間、平均すると287ミリの雨が降ります。今年は6月6日から21日までに137ミリの雨が降り、ちょうど半分です。いつもならばマラソンに例えて、折り返し地点に達したと言いたいところですが、今年はちょっと様子が違います。
例年よりも早いペースで太平洋高気圧が強まれば、実質的な梅雨が短くなることも考えられます。夏本番の暑さが前倒しでやってくるかもしれません。
そういえば、昨年の梅雨明けは大幅な見直しが行われ、7月19日から7月6日に変更されました。梅雨明け発表と実質的な梅雨の終わりが一致しないこともあり、見極めの難しさを感じます。
【参考資料】
気象庁:全般季節予報支援資料1か月予報,2018年6月21日
気象庁:1.2大気・海洋・雪氷の長期変化傾向,1.2.2降水(4)梅雨期の雨量の長期変化,異常気象レポート2014
大雨と突風に関する奄美地方(鹿児島県)気象情報 第8号,2018年6月22日10時32分 名瀬測候所発表