対戦相手の凋落ぶりばかりが目立ったホームでの初戦(ワールドカップ・アジア最終予選 日本7-0中国)
9月4日、2026FIFAワールドカップ・アジア最終予選がスタート。ホームで初戦を迎えた日本代表は、埼玉スタジアム2002に中国代表を迎えた。
試合前のNHKのニュースは、中国を「格下」と表現をしていた。公共放送らしからぬ、いささかリスペクトに欠けた表現には違和感を覚えたものの、両国との間に明確な実力差があるのは事実である。
最新のFIFAランキングは、日本18位で中国87位。過去の対戦成績は、日本の15勝8分け7敗。この試合のスターティングイレブンは、日本が全員欧州クラブに所属しているのに対し、中国はベンチも含めた全員が国内クラブの所属である。
実際、7-0(前半2-0)という圧倒的なスコアで、日本が勝利した。さっそく試合の模様を写真で振り返ることにしたい。
試合前の日本が懸念していたのは、相手の中国に対してではなく、アジア最終予選の初戦が「鬼門」となっていたことだ(2022年大会はオマーンに0-1、18年大会はシンガポールに0-0)。しかし今大会は、まったくの杞憂に終わった。
3つのグループに、6カ国ずつが組み込まれたアジア最終予選。この日は9試合が行われたが、カタールvsUAE(1-3)を除き、いずれも1-0とか1-1とか0-0のロースコアに終わった。そんな中、7-0というスコアは、異様なまでに際立って映る。
この日、FIFAランキング23位の韓国は、同96位のパレスチナにホームでスコアレスドローを喫した。「格上」や「格下」の理屈が通用しないのが、ワールドカップ予選の難しさであり、フットボールの奥深さ。とりわけ最終予選の初戦には、こうした番狂わせが起こりやすい。
ところが今回の中国は、相手の出鼻を挫こうとする戦略もなければ、覇気さえも感じられず、ただただ絶望的なまでに弱かった。今年1月のアジアカップでは、1勝どころか1ゴールも挙げることもできず、グループステージで敗退しているが、状況はさらに悪くなっているように感じる。
2004年のアジアカップ決勝では、日本を相手に記憶に残る死闘を演じた中国。あれから20年が経過し、一時は国内リーグでの「爆買い」や国策レベルでの代表強化が行われたものの、それらは果たして何を残したのだろうか。そんなことさえ考えてしまう、中国の凋落ぶりであった。
いずれにせよ、この試合結果をもって日本を絶賛するのは、ほどほどにしておいたほうがよい。真価が問われるのは、次節の9月10日。オーストラリアを1-0で破った、バーレーンとのアウェイ戦である。
<この稿、了。写真はすべて筆者撮影>