あなたは「ニンニク入れますか?」 今さら聞けないニンニクとラーメンの秘密
ラーメンに欠かせない「ニンニク」とは
ラーメンに欠かすことが出来ない「ニンニク」。いわゆる香辛野菜の一つで、球根は香辛料として、茎は野菜として様々な用途で使われるものだ。日本では古くから薬用植物として利用されてきたが、江戸時代以降に食材としての利用が始まり、第二次世界大戦後に日本の食が西洋化するにつれてその需要も高まってきた。
ニンニク独特の刺激的な香りは「アリシン」という成分によるもの。アリシンには強い殺菌作用のほか、ガンや血栓を予防する効果があると言われている。アリシンが体内でビタミンB1と結びつくことにより、糖質のエネルギー変換が促進されて疲労回復や体力増強に効果を発揮するという。
ニンニクの細胞が壊れることでアリシンの香りがより多く出るため、料理では細かく刻んだりすりおろしたりして使うことが多い。ラーメンではスープの寸胴に臭み消しとしてそのまま入れたり、隠し味としてすりおろしたものをラーメンに溶かしたり、具材を炒めたりチャーシューを煮る時の香りづけにも使う。刻んだり潰したものを直接スープに乗せるのもラーメンで好まれる使い方だ。
「ニンニククラッシュ」は福岡のラーメン店で生まれた
ラーメン店に行くと卓上にペースト状の「おろしニンニク」が置かれていることがあるだろう。自分で好みの量を入れて、味の変化を楽しむためのアイテムだが、あくまでも加工品なので調味料や増粘剤、安定剤などの添加物が入っているものが多い。便利であることは間違いないが、新鮮なニンニクの風味を楽しむことは難しい。
やはり可能であるならば出来るだけ新鮮な状態でニンニクを楽しみたいもの。それを可能にしたのが「ガーリックプレス」だ。生のニンニクの粒を入れて潰すことで、混じりっ気のないフレッシュなニンニクの風味を存分に楽しめるとあって、豚骨ラーメン店などをはじめ、卓上に剥いた粒ニンニクとガーリックプレスを置く店も少なくない。
ちなみにガーリックプレスを初めて卓上に置いたのは、福岡の人気ラーメン店『ふくちゃんラーメン』だと言われている。おろしニンニクではなくフレッシュなニンニクを楽しんで欲しいと、当初はおろし金と生ニンニクを置いていたが、より利便性を求めて「レモン絞り機」にたどり着いたのが始まり。その後ガーリックプレスを使うようになった(参考記事:新横浜ラーメン博物館ホームページ)。
『ラーメン二郎』などでは注文時にニンニクの有無を聞かれる。基本的には生の刻みニンニクが乗るが、インスパイア系などの中には醤油などで味付けされたものを乗せる店もある。「ニンニク入れますか?」と聞かれたら、ニンニクの有無をはじめ野菜の量や背脂の量、タレの濃さなども合わせてオーダーし、自分好みにカスタマイズすることが出来る。
熊本ラーメンはニンニクがマストアイテム
豚骨ラーメンとニンニクの相性の良さは言うまでもないが、中でも熊本ラーメンにとってニンニクは欠かすことの出来ないマストアイテム。博多ラーメンなどでは刻んだりおろした生のニンニクと合わせるのが一般的だが、熊本ラーメンではそれ以外にも様々な方法でニンニクとラーメンを楽しむ文化がある。
揚げたニンニクが熊本ラーメンで使われるようになったのは『味千ラーメン』の創業者が台湾出身の客家人で、客家料理にヒントを得たことによる。ニンニクを揚げたり炒めたりして焦がしたものをチップにしてラーメンと合わせたのは『こむらさき』。揚げたニンニクや香味野菜の風味をうつした油「マー油」を考案したのは『桂花』。熊本ラーメンの源流と呼ばれる老舗が生み出した文化なのだ。
他にもスライスしたフライドガーリックを合わせたり、より真っ黒な焦がしニンニク油を浮かべたりと、熊本ラーメンのニンニク文化は進化を続けている。さらに熊本以外でもマー油やガーリックチップを使ったラーメンを出す店も増えている。またニンニクそのものをポタージュにして豚骨スープなどとブレンドして、ニンニクスープのラーメンを提供する店もある。
ラーメンにとって欠かすことの出来ない「ニンニク」。店によって色々な楽しみ方が出来るので、ぜひラーメン店巡りをする時にはニンニクにも注目して食べ歩いてほしい。しかしながら本人は幸せでも周りの人は眉をひそめる場合もあるので、くれぐれも人と会う前はニンニクの入れ過ぎにご注意を。
※写真は筆者の撮影によるものです。
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