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白キャン解散直前インタビュー:西野千明「全部出しきって、何も言い残すことはないようなライヴを」

宗像明将音楽評論家
西野千明(株式会社PLAYYTE提供)

7人組アイドル・グループの真っ白なキャンバス(通称:白キャン)が、2024年11月4日に幕張メッセ幕張イベントホールで解散ライヴ「明日も変わらない1日を」を開催し、7年間の活動に終止符を打つ。

解散ライヴに向けての7人の個別インタビューの4人目は西野千明。2023年以降、白キャンがたびたびフジテレビの「芸能人が本気で考えた!ドッキリGP」に出演してきた際には、大きくフィーチャーされてきたメンバーだ。そんな西野千明は、解散ライヴが幕張イベントホールだと聞いて「マジかよ」と思ったという。解散に向かう現在の心境を聞いた。

本当に自分たち解散するんだな

――というわけで、解散ライヴに向けてのインタビューです。

西野千明 「考えといてください」ってSlackで熊木さん(マネージャー)から言われたけど、なーんにも考えてません(笑)。

――あはは。解散が決まってから、ライヴや特典会に向きあうときに変わったところってありますか?

西野千明 解散発表(2024年5月22日)が私の生誕祭(2024年5月26日)と近かったんですけど、解散発表前だったから「生誕行けないから、来年行くね」っていう声もあったし、全国ツアーも最後って言えないなか、ずっと「来てください」って宣伝告知するのも苦しいというか(笑)。「いや、もうないんだよー!」って思いながら、だけど言えないもどかしさがすごかったです。

――今はどんな気持ちで過ごしてます?

西野千明 んー、発表したときは、私、コメントで「これからはみんなと過ごす『最後』が増えてくると思います」って書いたんですけど、まさしくそれすぎて。最後の生誕もそうですし、最後の全国ツアー(4月7日~6月28日「真っ白なキャンバス全国ツアー 2024『私とわたし』」)も終わっちゃったし、メンバー全員の生誕祭も終わっちゃって、最後の夏フェスとか、最後のTIFとか……。最近も、最後の「MARQUEE祭」(2024年9月10日)に出させていただいたんですけど、「本当に自分たち解散するんだな」って。自分たちが話し合って望んだことではあるけど、いざこうやってどんどんどんどん終わりが近づいてくると、「ちょっと怖いな」っていう気持ちが(笑)。発表する前はネガティヴで、発表した後は、もうオープンにできるからすっきりしてポジティヴに考えるようになったけど、最近はポジティヴな自分もいれば、「ちょっと悲しい」みたいな気持ちも、やっぱ増えてきちゃったな、って感じですね。

――解散に対してポジティヴでもあるし、そう割り切れない部分もあると。

西野千明 でも自分は、人気がなくなって「白キャンってあったね」っていう感じで終わるよりも、そこそこの知名度があるときに終わったほうが絶対いいと思ってます。

2024年10月14日なんばhatch公演の西野千明(撮影:真島洸/提供:株式会社PLAYYTE)
2024年10月14日なんばhatch公演の西野千明(撮影:真島洸/提供:株式会社PLAYYTE)

無観客の時期は「これ楽しくないな」

――振り返ってみて、楽しかったことや嬉しかったことはどんなことですか?

西野千明 楽しかったことはありすぎるから、逆に選ぶのがすごく難しいな。ガチむずだな……TDCホール(2022年11月18日TOKYO DOME CITY HALL『希望、挫折、驚嘆、絶望、感謝 それが、私。』)かな。いきなりあんな大きな会場を突きつけられて、すごいプレッシャーもあったし、しかもその前に1万字の作文やチケットの手売りをして、つらい期間でもあったからこそ、本番にすごくたくさんの人が来てくださって、すごい幸福感でした。3階席までバーッとあるじゃないですか、その景色が見られると思ってなかったから、緊張はもちろんしたけど、それよりも楽しさが勝って、やって良かったなって思いましたね。ペンライトもいろんな色があってすごく嬉しかった、楽しかったです。

――逆に悔しかったことは?

西野千明 うーん……コロナじゃないですかね。やっぱアイドル業界的にけっこう致命的というか、「終わるんじゃね?」みたいな。今はだいぶ緩和されて元に戻ってきてるから良かったけど、あのときは「もう一生これなんだ」と思って。無観客の時期もあったじゃないですか。自分的に、これ楽しくないな、って思っちゃって(笑)。言い方は悪いけど、もうテレビの収録みたいな感覚、リハーサルをしてる感覚で。会えてた時期が最初にあったからこそ、会えない時期がめっちゃ続いて本当に「終わりだな」ってすごい思ってたから、めちゃしんどいことだったかもしれないです。どんどんファンが離れてくんじゃないかとか、しんどかったかも。

2024年10月14日なんばhatch公演の西野千明(撮影:真島洸/提供:株式会社PLAYYTE)
2024年10月14日なんばhatch公演の西野千明(撮影:真島洸/提供:株式会社PLAYYTE)

えっ、なんで幕張なの!?

――解散ライヴが幕張イベントホールだと聞いてどう思いました?

西野千明 自分の本気の意見で言うと、「マジかよ」って思って。

――あはは!

西野千明 青木(勇斗/プロデューサー)さんと私の考えが本当に違うからだと思うけど、私は無理に大きいところでスカスカでやりたくなくて。私は、自分たちに見合った会場でパンパンでやりたいんですよ。私はそういう考えだったから、まさか幕張をまだここで言ってくるんだ、って思っちゃったんですよ。でも、グループとしての目標が幕張メッセだったから、青木さんの考えもわかるけど、「なんで今ここで幕張?」って思ったんですよ。無理でしょ、って。怖くて、「幕張、最後立てるんだ、嬉しい!」じゃなくて「えっ、なんで幕張なの!?」って思っちゃって、青木さんにはめっちゃ申し訳ないんですけど、自分は正直ちょっと嫌だった(笑)。

――今は?

西野千明 今はわかんない。今の段階での動員も聞いてないからわかんないし、しかもいろんなアイドルさんが同じ会場で最近すごい成功させてるのを見て、私、ネガティヴだから(笑)。

――そう思いつつ、幕張イベントホールのステージに立ったらどんな気持ちになると思います?

西野千明 でも、結局は「最高だった」ってなるんじゃないですか? 最初はこうやって言ってるけど、結局「良かった」って思っちゃうんですよ、この仕事の悪いところ、本当に。

――それはいいところでもあるんじゃないですか?

西野千明 いいところでもあるけど、結局そういう考えになるのがこういう仕事ですよね。他の仕事をやったことがないからわかんないけども、やっぱ他の仕事よりもやりがいが大きいんじゃないかな、芸能系って。ファンの人たちの盛り上がりも生身で感じることができるし、やって良かった、って思うんじゃないですか。さっき嬉しかったこと、楽しかったことで話したTDCホールもそうだし、めっちゃ不安でしんどかったけど、ファンの人の盛り上がりを感じて、やって良かった、ってすごい思いましたね。

――そうなると、どういう解散ライヴにしたいと思います?

西野千明 シンプルに悔いの残らないように全部出しきって、何も言い残すことはないようなライヴを、かなー。やっぱライヴはそこが最後だから、後悔がないようなライヴがいいですね。

真っ白なキャンバス(株式会社PLAYYTE提供)
真っ白なキャンバス(株式会社PLAYYTE提供)

真っ白なキャンバス ラストライブ『明日も変わらない1日を』

2024年11月4日(月・祝)

幕張メッセ 幕張イベントホール

開場:17:30 / 開演:18:30

https://shirokyan.com/news/3632/

音楽評論家

1972年、神奈川県生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。著書に『大森靖子ライブクロニクル』(2024年)、『72年間のTOKYO、鈴木慶一の記憶』(2023年)、『渡辺淳之介 アイドルをクリエイトする』(2016年)。稲葉浩志氏の著書『シアン』(2023年)では、15時間の取材による10万字インタビューを担当。

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