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2008年のドラフト全体10位が引退。現役最終年に初のワールドシリーズ優勝を味わう

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジェイソン・カストロ Apr 12, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 12月2日、ジェイソン・カストロは、ツイッターで引退を表明した。それに対し、ヒューストン・アストロズはカストロのキャリアを称え、単なる金属ではない、優勝トロフィーを掲げる写真をアップした。今年のワールドシリーズで優勝した直後の写真だ。

 カストロは、2008年のドラフトでアストロズから全体10位指名を受け、スタンフォード大からプロ入りした。2016年までアストロズに在籍した後、3チームでプレーし、昨年1月にアストロズへ戻ってきた。

 好守の捕手として、カストロは、2013~16年のアストロズと2017年のミネソタ・ツインズでレギュラーを務めた。この5シーズンのスタメンマスクは、いずれも95試合以上。DHも含めると、先発出場は100試合を超える。2013年は、18本のホームランと35本の二塁打を打ち、出塁率.350とOPS.835を記録した。オールスター・ゲームにも選ばれた。

 その後は、故障に泣かされた。今シーズンもそうだ。左膝を痛めて手術を受け、7月以降は欠場した。ポストシーズンで復帰することもできなかった。ただ、アストロズはワールドシリーズを制し、ツイッターの写真のゴーグルが示しているとおり、カストロもそこに立ち会った。それまで、カストロは、ワールドシリーズ優勝を経験したことがなかった。昨年のワールドシリーズには出場しているが、アストロズはアトランタ・ブレーブスに敗れた。もしかすると、自身の健康状態に加え、優勝が引退を決断させたのかもしれない。

 ちなみに、2020年は、ロサンゼルス・エンジェルスとサンディエゴ・パドレスでプレーした。7月26日には、大谷翔平とバッテリーを組んでいる。この日は、2018年10月にトミー・ジョン手術を受けた、大谷の復帰登板だった。また、今年の4月20日には、6回裏に大谷からヒットを打った。大谷は、その前の打者16人をいずれもアウトにしており、カストロは、大谷のパーフェクト・ゲーム――あと11アウトなので、達成目前とまでは言えないが――を阻んだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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