とんでもないほど「面倒くさがり」の人が先送りしなくなる小さな小さな「おまじない」
先送りしないために、いろいろなテクニック、仕事術があります。作業を細分化する。細分化したタスクの処理時間を計測する。タスクの優先順位をつける。タスクが処理されたかどうかを手帳やスマホで見える化する……。
しかし、それさえも面倒に感じて先送りしてしまう人がいます。とんでもなく面倒くさがり屋の人です。どんなにハードルを落としても、そのハードルさえ乗り越えようとはしない、完全無欠の面倒くさがり屋。正直なところ私もそういうところがありますので、気持ちはわかります。
面倒くさがり屋の人は、とにかく面倒なことが嫌いです。理屈ではありません。面倒なことを何とかして先送りせず、「すぐやる」習慣を身に着けたいとは思っています。しかしながら、その「すぐやる」方法を知るとすぐやらなくちゃいけないかもと思い、面倒なことになりそうだからそもそも知りたくもないとも考えていることでしょう。勉強しなくちゃいけない。夕飯の準備をしなくちゃいけない。営業で外回りをしなくちゃいけない。それでも「STAP細胞 小保方晴子氏の記者会見」をどうしても見たい、気になる、どんな発言したんだろう、どんなファッションで会見に臨んだんだろう……云々。脳のワーキングメモリーのスコアが低いと、先の大きな報酬より、目先の小さな報酬を優先してしまいます。
こういった無類の面倒くさがり屋の人に効き目がある方法としては、ひとつしかありません。目には目を、歯には歯を、です。面倒くさがり屋の人は、面倒なことをしたくないわけですから、「面倒なことを選択しない」という思考を利用すればよいのです。
極端なたとえですが、会社に勤めているのに朝起きるのが面倒だとします。眠いのに朝起きて着替え、会社に出勤するのがとても面倒に感じたとします。しかし、もし出勤しなければ、もっと面倒くさいことになると誰でも想像がつきます。「なぜ無断で休んだんだ」と上司に怒られ、それに言い訳するとよけいに罵倒され、だったら会社辞めると言って、実際に会社を辞めると決意すれば、辞めるための手続きや、会社に置いてある私物の整理など、考えただけでも面倒くさいことをたくさんやらねばなりません。周囲からは「あの人、朝起きられないから会社辞めるんだって」「マジで? どうゆう感覚してるんだろうね」と言われるのも面倒ですし、ハローワークへ行って失業手当をもらう手続きをするのも面倒。学生たちに混じって再就職活動するのも面倒。かといって仕事をせず、家にずっといると家族にいろいろと言われて面倒なことになります。挙句の果てに何もかもが面倒だと思えてきます。
……ですから、朝起きるのが面倒でも、それをしないと「スーパー面倒」なことに見舞われそうだから、どんな面倒くさがり屋の人も起きるのです。つまり面倒くさがり屋の人は、目の前の面倒くさいことを先送りにすると、「もっと面倒なことになる」と想像しましょう。「もっと面倒なことになる」という「おまじない」を唱えることです。「おまじない」という表現が適切ではない気がしますが、別のフレーズを考えるのが面倒ですので、私はこれで押し切ってしまいます。
たとえば食事をしたあと、後片付けをするのを面倒だと感じたら、「もっと面倒なことになる」という「おまじない」を唱えます。後片付けを放置していると、後々さらに面倒なことになりそうだ、と想像するだけでなく、脳のワーキングメモリーの機能がさらに落ちて、自分が本当にしなければならない多種多様のことまで面倒に感じ、先送りを繰り返し、周囲の人からわぁわぁ言われそうだ、それを考えるとスゲー面倒、とまでイメージを膨らませるのです。そこまでイメージできれば、冗談じゃない、そんなに面倒なことになるんだったら、目の前の後片付けぐらいちゃんとしよう、となるかもしれません。私は単純な性格ですので、意外とこの「おまじない」で先送りを防止しています。
単純な「おまじない」ですが、「もっと面倒なことになる」「もっと面倒なことになる」「もっと面倒なことになる」「もっと面倒なことになる」「もっと面倒なことになる」「もっと面倒なことになる」「もっと面倒なことになる」「もっと面倒なことになる」……と自分に言い聞かせていると、意外とすぐやる習慣が身についてきます。毎回、壮大なイメージをする必要はありません。一度でも、そのような妄想をすれば、「もっと面倒なことになる」と唱えるだけで、そのイメージがすぐに想起されることでしょう。タスク管理などの仕事術だと実際に手や頭を動かさなくてはなりません。ですから「おまじない」です。ぜひ試してみてください。
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