Yahoo!ニュース

昨日の北朝鮮の複数のミサイルは新型戦術弾道ミサイルと改良型巡航ミサイル!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
新型戦術弾道ミサイルの発射に立ち会う金正恩総書記(中央)(朝鮮中央通信から)

 日本ではあまり騒がれなかったが、昨日(18日)北朝鮮が平安南道の介川から発射した複数のミサイルは9月12日に発射された600mm砲(多連装ロケット)ではなく、新型戦術弾道ミサイル「火星砲―11タ―4.5」と改良型巡航ミサイルであった。

 今朝の北朝鮮の国営通信「朝鮮中央通信」はミサイル総局が金正恩(キム・ジョンウン)総書記の立ち会いの下、「新型戦術弾道ミサイル『火星砲―11タ―4.5』の試射と改良型戦略巡航ミサイルの試射を成功裏に行った」と伝えていた。

 「火星砲―11タ―4.5」の試射は7月1日に続き2度目である。

 前回、北朝鮮のミサイル総局は「火星砲―11タ―4.5」の試射について「重量模擬弾頭を装着したミサイルの試射を最大射程500kmと最小射程90kmに対して飛行安定性と命中正確性を実証するのに目的を置いて行った」と発表したが、韓国合同参謀本部は1発目は600km飛行したもののもう1発は「約120km飛行し、途中で爆発し、平壌近郊に落ちた可能性が大きい」として、「失敗した」と推定していた。

 北朝鮮は7月中に「250km中等射程飛行特性と命中正確性、超大型弾頭爆発威力を実証する」ための再発射を予告していたが、約2か月以上も遅れて今回、2度目の試射を行ったことになる。

 北朝鮮の発表どおり、前回同様に「設計上4.5トン級の超大型常用弾頭が装着されたミサイル」の試射が「中等射程320kmの目標命中正確度と超大型弾頭の爆発威力を実証するのに目的を置いて行われた」のが事実ならば、射程が当初の計画よりも70km伸びていたことになる。

 韓国合同参謀本部の発表では昨日のミサイルの飛翔距離は約400kmと推定されていた。

 なお、この日は同時に戦闘適用用途に応じて性能を高度化した戦略巡航ミサイルの試射も行われていたが、韓国の合同参謀本部は巡航ミサイルについては触れていなかった。

 戦略巡航ミサイルの発射は2月14日に新型地対海(艦)ミサイル「パダスリ(ミサゴ)6」型を発射して以来で、今年5回目の発射となる。

 視察後、金総書記は「強い力を保有していれば、敵の戦略的誤判と武力使用意志を抑止し粉砕することができる」と述べ、「核戦力を引き続き増強するとともに、常用兵器部門も世界最強の軍事技術力と圧倒的な攻撃力を保有していなければならない」と強調していた。

 金総書記はまた、この日、国防科学院が研究、開発した7.62ミリ狙撃兵小銃と5.56ミリ自動小銃をはじめ数種の狙撃兵器を見て回り、「今後の生産方向と工場の生産技術土台を強化するための重要課題を示した」とのことだが、ロシアへの供与を念頭に置いた発言のように思われる。

 なお、この日の金総書記の視察については異例にも党機関紙「労働新聞」では全く触れられていなかった。

(参考資料:超大型弾頭を装着する戦術弾道ミサイルを発射? また食い違った南北の発表!)

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

「辺真一のマル秘レポート」

税込550円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

テレビ、ラジオ、新聞、雑誌ではなかなか語ることのできない日本を取り巻く国際情勢、特に日中、日露、日韓、日朝関係を軸とするアジア情勢、さらには朝鮮半島の動向に関する知られざる情報を提供し、かつ日本の安全、平和の観点から論じます。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

辺真一の最近の記事