なぜゴロフキンなのか 村田諒太が日本ボクシング史上最大のビッグマッチへ
12日、ボクシングWBA世界ミドル級スーパー王者の村田諒太(35=帝拳)と、IBF同級王者ゲンナジー・ゴロフキン(39=カザフスタン)によるWBA&IBF世界ミドル級王座統一戦の発表が行われた。
この試合は日本ボクシング史上最大のビッグマッチとして注目を浴びている。
本場アメリカでも人気のゴロフキン
村田が対戦するゴロフキンは、ボクシング界のレジェンド的な存在である。
元3団体統一王者で、世界タイトルを19回連続防衛した記録を持つ。
また、世界戦も含めて23試合連続KO勝利の記録を打ち立てたほどのハードパンチャーだ。
プロアマを通じてノックダウンやストップ負けの経験がなく、非常に打たれ強いのが特徴だ。
アマの世界選手権を制覇し、アテネ五輪では銀メダルを獲得した経歴もあり、テクニックにも優れている。
全階級で最強のボクサーを決めるパウンド・フォー・パウンドランキングでも1位に選出されていた。
勇敢に打ち合い交戦的なファイトスタイルに本場アメリカでも非常に人気があるボクサーだ。
ニックネームのGGG(トリプルジー)の愛称は、ボクシングファンの間に浸透している。
世界4階級制覇王者で4団体統一王者のサウル・アルバレスとも戦い、1敗1分ではあるが、その2試合は見方によってはゴロフキンが勝っていたのでは言われるほどだ。
村田も会見で「戦績は1敗1分けとありますが、僕の中では勝っていた試合だと思う。事実上、負けたことのない選手だ」と話している。
間違いなく、村田がこれまで戦った中で一番のビッグネームだ。
会見でのコメント
試合に向けての記者会見では、ゴロフキンもリモートで登場した。
「今回の試合は本物。一生懸命準備するし村田と対戦できるのが嬉しく思う」と意気込みを語った。
カザフスタン出身とあって「私にはアジア人の血が流れているので、日本での試合を楽しみにしている」との話もあった。
ラスベガスをはじめモナコやドイツなど様々な国で戦ってきたゴロフキンだが、日本には思い入れがあるようだ。
村田は今回の試合について「プロに来て8年。追い求めた舞台を用意してもらったことを幸せに思います。ベストを尽くします」と話す。
村田はプロデビューしたばかりの頃、ゴロフキンのトレーニングキャンプに参加している。
「(ゴロフキンの)強さを実感した。世界の壁の厚さを感じたと同時に登りたいと思った」
当時はデビューしたての新人と世界王者。
しかし、今やゴロフキンと肩を並べる存在となった。
会見の最後には「ようやくゴロフキンと試合をする立場になった。僕を通してボクシング界やスポーツ界が活気づいてくれたら嬉しい」と意気込みを語った。
過去の歴史を塗り替えてきた
下馬評では不利な状況だが、村田は過去の歴史を塗り替えてきた人物だ。
アマチュア時代には、2012年のロンドン五輪で日本人として48年ぶりに金メダルを獲得した。
また、プロに転向してからも日本では難しいと言われていたミドル級で世界チャンピオンになった。
日本人ボクサーでプロアマ通して、世界のトップに立ったのは村田しかいない。
私は現役時代、彼と同じジムで一緒に練習をしていてトレーニングキャンプにも行った。
非常に負けず嫌いな性格で、ランニングでは常に先頭を走っていた。
また、研究熱心な一面もあり、読書から様々な知識を得てそれを競技に活かすなど、向上心がずば抜けていた。
名実ともに、日本ボクシング界の歴史を変えてきたパイオニアだ。
村田は世界王者になってからビッグネームとの対戦を求めていたが、ようやく念願が叶った。
「ずっとみてきた選手なので拳を交えるのが楽しみ。ここで勝つことで自分の強さが認められる一戦になると考えています」
知名度もありボクシング界の生きる伝説と呼ばれるゴロフキンを相手に、どんな試合をしてくれるのか非常に楽しみだ。
ぜひゴロフキンを超えて、日本のボクシング界に新たな歴史を作ってほしい。
試合は12月29日、Amazonプライム・ビデオで独占ライブ配信される。