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【withコロナ】不況に負けない力、どう身につける?

末永雄大アクシス株式会社代表取締役兼キャリアコンサルタント
(写真:アフロ)

こんにちは。アクシス株式会社 代表・転職エージェントの末永雄大です。

中途の人材採用支援をしつつ、月40万人以上の読者を持つ「すべらない転職」という転職メディアを運営している中で、

Yahoo!ニュース上では2013年から「働き方3.0」というテーマでキャリアや雇用分野について発信させてもらっています。

昨今は、新型コロナウイルスに関するニュースで溢れていましたが、緊急事態宣言も解除され、徐々にですがニュースの話題も変化してきているように感じます。

とは言え、新型コロナウイルスの及ぼした影響の一つに、「人々の”安定”に対する意識の変容」があるのではないかと感じています。

「会社に依存するキャリア」はおしまい?

というのも、私が代表を勤めるアクシス株式会社では、20代で市場価値の高い人材を目指していきたいという方を支援するエージェント事業を行っているのですが、直近は従来に比べても、先行きの不安から「このまま企業に依存していてはいけない」と考えられている求職者の声が多く聞こえています。

もちろんその考え自体は自分自身に責任をおいており、大変素晴らしいのですが、私自身危機を感じていることが一点あります。

それが、「市場価値」の意味を正しく理解されている求職者の方が非常に少ないことです。

この市場価値の意味を正しく理解されないと、「市場価値を上げて自分自身に安定を置いたキャリアを築きたい」という本来の目的からズレた意思決定をしてしまい、結果市場価値が全く身についていないというケースが非常に多いのです。

そのため、今回はプロの転職エージェントの視点から、市場価値の正しい意味とその高め方についてお話ししたいと思います。

そもそも市場価値とは?

まず市場価値を定義づけすると、転職市場での価値、という意味になります。

そしてその価値というものは、需要と供給のバランスで決まります。ダイヤモンドが高級なのは希少性が高いから、ということと同じように、需要が大きく供給が少ないと価値が高まりますよね。

そのため、市場価値の高い人というのは、転職市場において希少性の高い経験やスキルを持った人という意味になります。

ちなみに、市場価値の対義語は、「会社内価値」と私は定義していますが、これは年次や役職が上がるほどに大きな仕事を任され給料が高くなるような、日本企業の仕組みですね。

そして会社内価値というのは「特定の会社内だけでの価値」になるので、転職市場に出ると一気に価値に対する評価が低くなってしまう、ということは往々にしてあります。

「市場価値の高い仕事=エンジニア」に隠されたワナ

では、具体的に市場価値が高い仕事というと、どのようなものが上げられるでしょうか?

例えば、エンジニアやAIの技術者などの成長テーマ×人手不足な分野があげられるかと思います。

ここで多くの求職者が陥りなのが、「じゃあ市場価値を高めるにはエンジニアになればいいの?」という思考です。

実際、現在弊社に問い合わせをいただく方の中で市場価値の認識を誤っている方は、このような答えに走ってしまいがちなので、皆さんも心当たりがないか、注意してみてください。

確かにエンジニアというのも、一つの選択肢としては考えられます。しかし、そもそも「不況にも負けない力を身につけたい」ということから市場価値を上げるという方向に進もうと考えられた場合、不況時はもちろんですが、「いつの時代も」という視点が重要になります。

確かに、エンジニアなどのIT技術の仕事は、今の時代には市場価値が高いですが、専門分野やテクニカルスキルには流行り廃りがあるので、時代が変わると一気に陳腐化して価値が下がってしまうケースもあります。

また、一プレイヤーとしてプログラミングができるだけでは、参入が増えてきて、自分の年齢が高くなってくると、若手の新規参入者にリプレイスされてしまうリスクもあります。

年齢相応に、継続的にスキルアップしていく事が求められるのです。

そのため、専門性・テクニカルスキルを高めることだけが市場価値をあげることにイコールでは繋がらず、「いつの時代も」活躍するためのスキルが別で必要になる、ということになります。

市場価値を継続的に高めていくために「ポータブルスキル」を身につけよ

では、「いつの時代も」の視点を踏まえ、市場価値を上げるためにはどのようなスキルを身につけていけばいいのでしょうか?

それは「ポータブルスキル」です。みなさんも聞いたことはあるのではないでしょうか?

ポータブルスキルとは、日本語で言い換えるならば「汎用性のある力」つまり、「いつでもどこでも役立つ力」という意味です。

テクニカルスキル、専門スキルが特定業務に紐づくスキルだとしたら、特定業務に紐付かずに活用できるスキルと言えます。

例えば、仮説を立てる力、自分で目標や課題を発見する力、論理的思考力や周囲を巻き込む力などがあげられます。

一見すると「そんな定性的な力でいいの?」と思われるかもしれませんが、実はこれが重要なのです。

想像してみてください。

もしあなたの職場に、与えられた目標以上の高い目標を自分で設定し、達成するためにはどうしたら良いか仮説立て・行動を起こし常に更新し続けられるビジネスパーソンがいたらどうでしょう?

それが上司だった場合、この上司から仕事の仕方を学ぶことで自分自身のスキルアップに繋がりそうですし、これが部下だった場合、新しい仕事をどんどん任せたいと思うのではないでしょうか?

また自分自身が経営者や人事担当者だとしたら、このように成果を上げ周りにも良い刺激を与える社員が欲しい、と思うのではないでしょうか?

このように、会社内からも転職市場からもニーズがあるスキルが、「ポータブルスキル」というわけです。

「ポータブルスキル」を身につけるためにはどうすればいい?

では、このポータブルスキルを上げるためにはどのすればいいでしょうか?

まずは先ほど想像されたような、自分自身のこうなりたいと思うビジネスパーソンを明確に描くことです。その上で、そのビジネスパーソンにあって今の自分自身にない力を具体的に書き出してみてください。

身につけるべき力を具体化し、読書や勉強会参加などを通して必要なノウハウを身につけていく、そして現職で実践できるように意識化することの積み重ねが重要ではないかと考えています。

注意が必要な点として、テクニカルスキルは特定職種、業務に就いてさえいれば、自然と身についていく一方で、ポータブルスキルは自ら意識的に研鑽を行わなければ高まっていく事はありません。

それが故に、競争相手に対して差別化しやすいのです。

「転職すれば良いんじゃないの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、転職はあくまで手段であり、目的は「不況に負けない力を身につける」ということではないかと思います。

私事で恐縮ですが、6月15日にナツメ社さんからビジネス書籍を出版したのですが、タイトルが「転職面接」にも関わらず、自己分析をきちんと行う準備の質こそが、面接本番の小手先のテクニックを学ぶよりも大切であるといった事を書かせていただきました。

転職面接
転職面接

・成功する転職面接 成否の9割は「準備」の質で決まる

まずは現職でポータブルスキルを高める事は可能だろうか、と考え、行動した上で、それが難しい場合に、転職という手段も検討されると良いでしょう。

前述した専門性やテクニカルスキルと、このポータブルスキルを組み合わせる事で、「いつの時代も」求められる自分になっていけるのです。

アクシス株式会社代表取締役兼キャリアコンサルタント

青山学院大学法学部卒。新卒でリクルートキャリア(旧リクルートエージェント)入社。 リクルーティングアドバイザーとして様々な業界・企業の採用支援に携わる。東京市場開発部・京都支社にて事業部MVP/西日本エリアマーケットMVP等6回受賞。その後サイバーエージェントにてアカウントプランナーとして最大手クライアントを担当し、 インターネットを活用した集客支援を行う。2011年にヘッドハンター・キャリアコンサルタントとして独立。2012年アクシス株式会社を設立。代表取締役に就任。キャリアコンサルタントとして転職支援を行いながら、インターネットビジネスの事業開発や社外での講演活動等、多岐にわたり活躍する。

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