熊本県山鹿市で公式戦初開催。大分B-リングスがリーグ戦2勝目【九州アジアリーグ】
先週の九州アジアリーグ(KAL)は、公式戦が1試合のみ。13日の日曜に熊本県山鹿市の山鹿市民球場で火の国サラマンダーズ対大分B-リングスの試合が行われた。
山鹿市は熊本県北部に位置する人口4万8000人の小さな町。中世に物資の集散地として栄え、江戸時代には宿場町として発展した。明治以降は温泉地として博多と熊本、鹿児島を結ぶ鹿児島本線とつながる鉄道が敷設されるなど、行楽地として近隣から多くの人を集めたが、日本の地方都市の御多分に漏れず、かつての賑わいから遠ざかっている。2005年には、旧山鹿市と周辺4町が合併し、現在のかたちとなった。
スポーツとは縁も深く、女子ハンドボールチーム、オムロン・ピンティーズが拠点を置いているほか、野球界には、選手として中日などで通算2057安打を放ち。太平洋クラブライオンズ時代は兼任監督も務め2010年に殿堂入りした江藤慎一を送り出している。
旧山鹿市街の外れにある運動公園にある市民球場には、地元球団サラマンダーズの姿を見ようと707人の観衆が集まった。
ここまでサラマンダーズの10勝1敗と一方的な展開になっているが、B-リングスは、休養十分のエース岡部峻太(中津東高校)を立て、ここまで1勝1敗のサラマンダーズ、猿渡大輝(柳川高)に相まみえた。
B-リングスは、2回に川上理偉(大分高)のソロホームランで先制。さらには4回にも2点を追加して試合を優位に進める。
サラマンダーズも4回裏にこの日4番に入った安井勇輝(近大)の3号ソロで1点を返したが、この日のB-リングスは打線が好調で、5回に早速3点を返して突き放しにかかる。サラマンダーズはそれでも、6回、7回と追加点を挙げ追い上げるが、結局4投手をつぎ込んだB-リングスが7対6で逃げ切り、リーグ戦2勝目を挙げた。
尚、NPB広島から移籍の小窪哲也は途中出場ながら1号ホームランを含む2安打3打点と格の違いを見せつけていた。
2チームのリーグでの格差問題について考える―レンタル移籍制度の提案―
先週の試合ではB-リングスが勝ったとはいえ、先週時点でリーグ公式戦の3分の1、12試合を消化して「首位」サラマンダーズの勝ち星は10勝2敗。「2位」B-リングスとのゲーム差は8にも開いている。このままのペースでは36試合のシーズンが終わると24ゲーム差というプロリーグとしてあってはならないゲーム差となってしまう。個人成績でもランキング上位は軒並みサラマンダーズの選手で占められている。
そこで提案したいのが、サラマンダーズからB-リングスへのレンタル移籍制度だ。
以前にも書いたが、サラマンダーズの選手待遇は、日本の独立リーグの中でも最高レベルらしい。プロリーグである以上、プレーレベルは報酬に比例するのは当然である。つまりは、「目指すは独立リーグ日本一」の言葉通りサラマンダーズのプレーレベルは独立リーグ最高級と言っていいだろう。
しかし、一方のB-リングスの台所事情は決して豊かとは言えない。戦力も正直なところ、ドラフト候補が名を連ねるサラマンダーズに対し、他の独立リーグとの契約を失った者、クラブチーム出身者が大半である。個々のスキルアップは無論のこと図ってはいるが、戦力差は如何ともしがたいが現実である。そのことは、現在のゲーム差が端的に示している。現状のままではこの先ゲーム差が縮まるとは思えない。現在2球団制で、他リーグとの交流戦は「公式試合」として個人成績のみをカウントし、両球団で行う「公式戦」のみをペナントレースに換算するKALにおいて、このままでは早々にサラマンダーズのリーグ優勝が決まり、膨大な数の消化試合が発生する可能性がある。ペナントレースにファンをつなぎ留めておくためには、両球団のゲーム差をこれ以上広がらないようにすることは必須条件であると言える。
リーグ自体を盛り上げるため、一度両チームをシャッフルしてみることも考えてはいいのではないかとも思うがどうだろうか。
KAL防御率5傑(6月14日時点)
松江優作(サラマンダーズ) 1.26
宮澤怜士(サラマンダーズ) 2.38
猿渡大輝(サラマンダーズ) 2.53
江藤奨真(B-リングス) 3.27
岡部峻太(B-リングス) 3.52
KAL打撃成績5傑
河添博司 (サラマンダーズ) .305
安井勇輝 (サラマンダーズ) .271
宇土憲伸郎(サラマンダーズ) .234
山下海星 (B-リングス) .233
水本大志 (B-リングス) .205
(写真は火の国サラマンダーズ提供)