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【何が違う?】年収700万の40代マネジャー 転職で年収が半減する人・倍増する人

横山信弘経営コラムニスト
40代になって後悔しても遅い(写真:イメージマート)

同じ年収700万円の40代マネジャーが転職をしたとき、片方は年収が倍増し、もう片方は半減する。この差は一体どこから来るのだろうか。

最近の転職市場では、40代の転職希望者に対する評価が極端に分かれている。これまでの会社での実績だけでなく、その人が持つ本当の実力が厳しく問われているのだ。

今回は、40代マネジャーの転職で何が求められ、どんな準備が必要なのか。実例を交えて詳しく解説していく。転職を考える40代のマネジャーはもちろん、これから40代を迎える30代のビジネスパーソンにも参考になるはずだ。ぜひ最後まで読んでもらいたい。

■年収700万円が半減して350万円になった衝撃的な事例

まず、年収が半減したケースを見てみよう。

ある製造業の営業部長(45歳)は、会社からリスキリングを求められていた。しかし彼は「今までだって実績を出してきた。どこの会社でも通用するはずだ」と思い込み、転職を決意。ところが、思っていた以上に転職活動は厳しかった。

転職エージェントに登録しても、

「実績は十分ですが、なぜ前の会社を辞められたのか分からない。失礼ですが勉強不足だと思います」

と31歳の若い転職コンサルタントに苦言を呈される。その人の本当の実力は「日ごろから勉強しているかどうか」に、ほぼかかっている。同じ職場内では見抜かれなくても、会社から一歩外へ出れば、すぐにバレてしまうだろう。

離職後2ヵ月ほどしてようやく手を挙げてくれる会社が出てきたが、ここでも勉強不足の影響が出た。

面接では自分の実績を適切に言語化できない。

「あなたにとってマネジメントとは、何ですか?」

という質問にも、

「組織の運営でしょうか?」

ぐらいしか答えられない。

「組織の運営とは、具体的にどういうことですか?」

と、自分よりも10歳ぐらい年下の面接官に「掘り下げ質問」をされる。「掘り下げ質問」をされるということは、言語力が足りない証拠である。

「組織の運営とは、つまり組織をうまいこと問題がないように、やっていくというか。そういう感じのことです」

組織にどんな課題があり、どう課題設定して解決してきたのかと質問されても、まるで表現できない。この部長はどこの企業の面接も落ち続け、半年後に年収350万円で中小企業に就職することになる。そして早々とマネジメントスキルがないと現場でも判断され、新入社員と同じ営業職を任されることになった。

なぜこのような結果になったのか?

大きな要因はやはり「勉強不足」である。彼は15年以上、新しい知識やスキルを身につけようとしなかった。とくに後述するポータブルスキルがまるでないと判断された。そのせいで、これまでの実績も、会社のブランド力や仕組みのおかげではないかと、採用側に疑問を持たれてしまったのだ。

■年収700万円が倍増して1400万になった驚きの事例

中小の印刷会社で課長を務めていた女性課長(42歳)の真逆だ。夫の家庭の事情で大阪への引っ越しを余儀なくされたが、この「転機」を前向きに捉えた。

印刷会社時代、彼女は常に新しい学びを求めていた。特にプロジェクトマネジメントには力を入れ、PMBOKという世界標準の知識体系を独学で習得。その知識を活かして、印刷業とネット事業を融合させた新規事業の立ち上げに成功していた。

転職活動では、この経験を存分に活かした。面接では「新規事業をどのように進めたのか」「どんな課題があり、それをどう解決したのか」を具体的に説明した。さらに「なぜその解決策を選んだのか」という理由も、論理的に伝えることができた。

実のところ彼女は、人材紹介会社も効果的に活用していた。「自分の経験を活かせる企業」を絞り込み、その企業の課題も事前に調査。面接では「御社ではこんな課題があると考えています。私の経験を活かしてこのように解決できます」と具体的な提案までしていた。

このような準備と実力が評価され、大手IT企業から年収1400万円のオファーを得た。現在は7人の部下を持つ事業責任者として活躍している。

■40代を超えて「勉強不足」は致命的

40代マネジャーの転職で成功するのは、結局のところ「学び続ける力」を持っている人たちだ。単なる資格取得や語学力ではない。どの会社でも通用する「ポータブルスキル」、つまり物事を論理的に考え、課題を解決し、説明できる力が必要なのだ。

このことは、印刷会社からIT企業へ転職した女性課長のケースが好例だ。

単なる「実績」だけでなく、「なぜそうしたのか」「どう考えたのか」を説明できる力が、年収アップの大きな要因となっている。

その準備は、転職を決めてから始めるべきではない。年が明けた今日からでもスタートする必要があるだろう。ポータブルスキルは一朝一夕には身につかないからだ。

いくら「超人手不足」の時代であっても、勉強しない人にチャンスは回ってこない。そんな甘い世界ではない。とくに40代を超えたら、残酷なほど如実に現れる。

<参考になる動画>

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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