タマスタ筑後での開幕カード3連戦 こぼれ話など《阪神ファーム》
阪神ファームの前に、先日ご紹介した元阪神タイガース・野原祐也さんの続報を少しご紹介します。ことし、社会人野球のクラブチーム・OBC高島(滋賀県高島市)の監督に就任しました。現在はオープン戦の真っ最中ですが、積雪の影響で中止になったり、また故障などで揃わない投手陣も影響して、オープン戦はまだ勝っていなかったのです。とはいえ、初戦を終えた時に野原監督が「みんなよく打ってくれた」というように、打線が好調。佐竹誠人主将も「監督のおかげです!」と打てる実感を得た様子でした。
そして20日、本拠地の今津スタジアムで行われた金沢星稜大学とのオープン戦に勝利!8回まで4対4で、9回表に3点を取って7対4というスコア。なんだか…タマスタ筑後での阪神みたいですね。観戦された方も、昨年までと比べて空振りが減ったような気がするとおっしゃっていたので、やはりバッティングに“監督効果”が出ているのでしょう。
20日の夕方にお祝いのメールを送ったところ、野原監督から「ウイニングボールを選手から渡された時は泣きそうになりました(笑)」という返事が届きました。(笑)と書いてありますが、本当にウルッと来ていたかもしれませんよ。初勝利おめでとうございます!公式戦は、まず4月8日の都市対抗滋賀1次予選(甲賀市民スタジアム)でスタート。期待しています。ただ滋賀県といえば藤井宏政選手のカナフレックスも…。この2チームが出会うとしたら9日の決勝です。うーん、どうする。
鳴尾浜から筑後へ
さて、ことしはソフトバンクとの3連戦で開幕した阪神ファーム。2年目を迎えた福岡県筑後市のタマホームスタジアム筑後は、昨シーズンよりもさらにパワーアップした気がします。計8000人を超えるお客様で大いに盛り上がった3日間は阪神ファンの方も多く、シーソーゲームを制した1戦目、3戦目は長い試合にも関わらず最後まで応援されていました。
ところで昨年、初めてタマスタを訪れた時に懐かしい顔と会ったのですが、今回また意外な人に遭遇しました。それが冒頭の写真で、今は2人ともタマスタ筑後のグラウンドキーパーとして働いています。右の西山さんはもと阪神園芸さん。タマスタの廊下で顔を見て「あ、知ってる。けどソフトバンクの人?」と思ったら挨拶されて「やっぱり~!でも何で?」でした。本人も奥さんも九州出身だったことが転職の後押しをしたかもしれませんね。
そして今年、タマスタへお邪魔した17日に西山さんと一緒に歩いている人を見て、今度は「うわ~メチャクチャ知ってる!」と思わず声をかけてしまいました。だっていつも鳴尾浜の試合で会っていたし、話だって何度もしたし。だからビックリするやら「え、なぜここに?」と不思議に思うやら。きっと鳴尾浜に来られている方なら、上の写真ですぐおわかりだったでしょう。長らく甲子園や鳴尾浜でボールボーイのアルバイトをしていた今冨さんです。
「野球が好きでたまらない子だから」と西山さんがスカウトしたとか。さっそく福岡に移り住み、ことしからスタッフに加わった今冨さん。試合前の練習中も、阪神の選手たちに挨拶をしては「あれっ、どうして?」と驚かれ、照れながら説明していました。
なおメイングラウンドは西武プリンスドームにも採用された、天然芝により近い新しいタイプの人工芝、そしてサブグラウンドは天然芝です。“もと阪神”の2人が、これからもタマスタ筑後のグラウンドを守っていきます。
試合前の交流いろいろ
またタマスタ筑後でのウエスタン公式戦は、昨年同様テレビ中継されています。17日からの開幕カード3連戦ももちろん放送があり、私は3試合ともしっかり録画予約していったのに、3戦目は3時間50分という長い試合で…。森越選手の犠飛までしか録画されておらず、そのあと放った板山選手の満塁走者一掃三塁打は入っていませんでした。
その中継の解説が1戦目は若菜嘉晴さん、3戦目は池田親興さんと阪神OBだったので、試合前の練習中には掛布監督と笑顔まじりで話す姿が見られました。おふたりとも掛布監督とは在籍時が重なっていますし、個人的に掛布さんと池田さんの2ショットは1985年がよみがえるようで思わず写真を。若菜さんはどんどん若返られるような気がしました。服装ですかね。池田さんは昔と変わっていないようです。いや~本当に懐かしい。
選手同士のふれあいもあります。19日は練習入れ替えの際、終わって引き上げるソフトバンクの川島選手が、これからティーバッティングを始める大和選手の方へ近づいてきて、しばし談笑。年は川島選手が4つ上ですけど、そういえば同じ2006年の入団ですよね。ヤクルト時代から親交はあったみたいで、この日も何やらニコニコと楽しげな様子。その身振り手振りを見ていると、左打ちについて話していたのかな?
そうそう、土日の2試合は鹿児島から大和選手のご両親も来られていました。安芸キャンプには行けなかったとのことですので、ユニホーム姿はことし初になりますね。きっちり決めたバントやタイムリー、そして初めて訪れたタマスタ筑後も堪能して帰られたようです。
狩野選手、球を受ける
開幕3連戦で遠征したキャッチャーは、小豆畑選手と長坂選手の2人だけ。長坂選手が1戦目にフル出場、2戦目は長坂選手がスタメンで途中から小豆畑選手に代わり、小豆畑選手は3戦目が先発出場でした。なお3戦目の9回は長坂選手がマスクをかぶっています。横川ブルペン捕手が帯同していたものの、イニング間にピッチャーが行う投球練習の際はキャッチャー2人で回らない場面が…。
確か、ことしの教育リーグでもそんな場面がありましたね。その時も狩野選手に声がかかったんですけど、キャッチャーの準備が間に合って問題なし。でも17日の試合では、8回の攻撃がちょうど長坂選手で終わったため、DHだった狩野選手がマスクをかぶってホームベースに向かっています。8回裏に登板する山本投手の球を受け、返球し、やがて出てきた長坂選手と交代。なんら違和感のない、スムーズな時間でした。
では最後に、ご紹介できなかった開幕カード2戦目・18日の試合結果を書いておきます。
粘る守屋投手を援護できず
2ケタの11安打を放って逆転勝ちした開幕戦に比べ、翌18日に行われたソフトバンク戦は少し寂しい結果となりました。阪神が守屋投手、ソフトバンクは2年目でウエスタン公式戦初登板の小澤(こざわ)投手の先発。阪神にとっては初顔合わせ。それを言い訳にしちゃダメだけど…と前置きした、掛布監督のコメントはのちほどご紹介します。
とにかく、この19歳投手を“乗せてしまった”阪神打線。小澤投手の前に6回まで2安打0点で、何とか7回に1点返したものの結局は4安打のみでした。よく粘った守屋投手は責められないでしょう。
《ウエスタン公式戦》3月18日
ソフトバンク-阪神 2回戦 (筑後)
阪神 000 000 100 = 1
ソフ 001 002 01X = 4
◆バッテリー
【阪神】●守屋(1敗)‐島本‐歳内 / 長坂‐小豆畑(8回裏)
【ソフ】○小澤(1勝)(6回)-S石川(1S)(3回) / 栗原
◆本塁打 真砂1号ソロ(歳内)
◆三塁打 緒方
◆二塁打 斐紹、茶谷
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗/失) 打率
1]遊:植田 (2-1-0 / 0-2 / 0 / 0) .333
2]二:大和 (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .167
3]中:緒方 (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .222
4]三:陽川 (4-0-1 / 1-0 / 0 / 1) .250
5]指:大山 (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .250
6]一:今成 (2-0-0 / 1-1 / 0 / 0) .000
7]左:伊藤隼 (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .429
8]捕:長坂 (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .000
〃打:狩野 (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .400
〃捕:小豆畑 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―
9]右:板山 (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .143
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ
守屋 6回 99球 (7-5-1 / 3-3 / 4.50) 146
島本 1回 7球 (0-0-0 / 0-0 / 0.00) 140
歳内 1回 12球 (2-1-0 / 1-1 / 9.00) 141
試合経過
1回は三者凡退、2回はヒット2本と味方エラーなどでピンチを迎えながらも抑えた守屋。しかし3回、連打と四球で1死満塁とし斐紹に中犠飛を許します。4回と5回は三者凡退。ところが6回、斐紹の二塁打と幸山のタイムリー、茶谷の左越えタイムリー二塁打で2点を追加されました。
打線は1回に植田がヒットを放つも二盗失敗。それ以降ほぼ完ぺきに抑えられ、6回まで計2安打で無得点。ようやく7回、2人目の石川から緒方が右中間へ三塁打し、陽川の遊ゴロで1点返します。しかし以降は代打・狩野の1安打のみ。8回に歳内が真砂の1号ソロを許し、4対1で試合終了。
斐紹選手への攻めを猛省
「斐紹さんが」と話し始めた守屋投手。2安打と1犠飛を許した斐紹選手への攻めを反省しました。「長坂からインハイでのけぞらせる球を要求されたのに、全部まんなか高めへいって…。同じことを3回、3打席すべてでやってしまった。思いが強すぎて逆へいっちゃうというか」。線の援護もなかったですね。「それは僕のテンポに問題があると思います。2、3回はテンポが悪くてランナーも出ましたし。でも1点で抑えられたのはよかったなと」
そう思うと6回がもったいない?「6回も斐紹さんに二塁打打たれて。斐紹さんの時だけ、ああいうピッチングをしてしまい、それがチャンスになったので」。5回まではしっかりゲームを作れましたね。「いろいろ配球パターンを試していて、左打者をどう抑えるかとか、ツーシームでストライクを取ってカウントを有利にとか。そういうところができたのはよかったです」と話しました。
掛布監督と久保コーチ
掛布監督は試合後に「守屋はいいピッチングをしたと思いますよ。打線が、向こうの先発をとらえきれなかった。ストレートを投げさせすぎだよね。対応を考えないと。基本のところで差し込まれて、攻めるリズムを作らせてしまった。初球を打つにしても、もっと強くとらえないと。速いボールの対応ができれば、楽になってくる。ピッチャーも真っすぐで自分が攻めている気持ちになるからね。打線が初めに対応しなきゃいけなかった」と振り返っています。
久保投手コーチは「カーブがよかった。ボールのキレもあったし、6回2失点なら形もできたんだけどね。でもボール1つ1つは良い内容ですよ。左に対して良い当たりが多いので、持っている球種でどう対処していくかでしょう」というコメント。手応えのあったツーシームを生かした、次のマウンドを楽しみにしましょう。