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昨季B1制覇を成し遂げた千葉ジェッツが今季を通じて直面するチャレンジとは?

青木崇Basketball Writer
2連覇を目指して厳しい道のりを覚悟している千葉ジェッツ (C)B.LEAGUE

 宇都宮ブレックスとの激戦シリーズを制し、悲願のB1制覇を成し遂げてから4か月、千葉ジェッツはアウェイで迎えた開幕戦で大型補強を敢行した島根スサノオマジックに黒星を喫した。その後の5連勝で東地区の首位に立ったが、2連覇を目指して厳しい道のりを歩み始めたことは間違いない。

 10月9日に行われた群馬クレインサンダーズとの初戦、千葉は103対74で勝利したものの、翌日になると最大で22点差をつけられるという大苦戦。4Qで逆転に成功して勝利を手にしたが、「完全にマインドセットができていなかったです。前半の入りで群馬さんはかなりエナジーがありましたし、バック・トゥ・バックを戦う上でのマインドセットがなかったと思います。その証拠に66%オフェンスリバウンドを1Qで取られてしまっている。自分たちが昨日やったことをまったくやっていなかったのが、(群馬の)ジャンプスタートの原因だったと思います」と、大野篤史コーチからは厳しい言葉しか出てこなかった。受けて立つ姿勢が少しでも出てしまうと、大苦戦を強いられるだけではなく、悪い内容の敗戦につながるという思いが指揮官にはある。

 もちろん、千葉ジェッツの選手たちは、“優勝は昨季のこと。今季は新たなチャレンジ”と意識を持って日々を過ごしているはずだ。しかし、対戦相手は何としてでもディフェンディング・チャンピオンから勝利を奪おうと、普段の試合以上に気合十分で挑んでくるもの。先週末船橋アリーナにやってきた秋田ノーザンハピネッツは、新外国籍選手のコルトン・アイバーソンら故障者が出ていた影響で8人(出場時間5分未満が2人)でローテーションするしかない状況。明らかな駒不足ながらも、10月17日の2戦目は3Q終了時までリードを奪っていた。

 昨季まで千葉に在籍した田口成浩が「ケガ人もいて10人しかいなかったんですけど、なんか最初はアドレナリンがみんな出ていますし、めちゃくちゃ勝ちに行く、負けないし、やれるという雰囲気でした」と話せば、前田顕蔵コーチも「見ていて誇らしかったですし、ワクワクしました」と振り返る。開幕戦で勝利した島根の安藤誓哉の「チーム全員で挑戦していくという、気持がすべてだったんじゃないかなと」という言葉は、どのチームも例年以上に千葉を倒そうという思いで挑んでいることを示すものだ。

 千葉の選手たちは相手が強い気持を持って戦ってくるということを十分に理解しているはずだが、自分たちのマインドセットに少しでも問題があれば、いつでも負けることもわかっている。対戦相手が昨季以上によりアグレッシブに、よりハードに来ていると感じられるかという問いに対して、ガードの原修太はこのように話す。

「今年になって特別にそう感じることが自分にはないんですけど、群馬とかB1に上がってきてジェッツを倒したら話題になるなと多分思っていてプレーしていただろうし、秋田もシゲ(田口)を中心に本当にインテンシティの高いバスケットをしてきている。例年と変わらず千葉に対して結構みんな激しく来ているという感じはあったんですけど、そう言われてみると少しだけそれを痛感しました」

 大野コーチはチャンピオンシップリング贈呈のセレモニーを前に、“リラックスムードを試合に持ち込むな”と選手たちに注意していた。天皇杯3連覇、B1優勝という素晴らしい実績のある指揮官は、チームが進むべき方向から外れないように最大限の注意を払っている。秋田に連勝した後、今季の千葉を率いるうえで最大のチャレンジは? と質問したところ、大野コーチは次のように返答した。

「バック・トゥ・バック(2連覇)と言いますけど、決して簡単なものではないです。選手も自覚していると思いますし、そこに選手たちと一緒にチャレンジしていかなければいけない。今日のところで言うと共通理解。前半の時にコールしているプレーと違うプレーをしたりと、そういうことをやっているようでは、バック・トゥ・バックは難しい。(違うことをした)彼に言ったのはチームとしてのあるべき姿、苦しい時こそチームというのは団結しなければいけないという話を今回したんですけど、そういうところの積み重ねかなと思っています。1試合を通して成長できればと…」

 千葉は昨季のチームに在籍したセバスチャン・サイズとオールラウンダーのライアン・ロシターを獲得したアルバルク東京が今週末に船橋アリーナ、ファイナルを戦った宇都宮ブレックスと27日にブレックスアリーナ宇都宮で対戦する。B1の上位を争ってきたライバルとの3試合は、これまでに露見した課題の改善と成長のプロセスを知る絶好の機会になるだろう。

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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