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エアコンなしのパリ五輪 夏はどれほど暑いのか #専門家のまとめ

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
(写真:アフロ)

まもなく始まるパリ五輪は「史上最高にエコな五輪」を目指しています。

使い捨てプラスチックは使わない、動物性食品は控えめに提供し、CO2排出量は大胆に減らすなど、徹底的に環境に優しい大会にすると誓っています。その一環として、選手村にはエアコンを設置しないことが発表されました。

フランスと言えば夏でも涼しいイメージがありましたが、最近はその逆で、摂氏40度を超えるような暑さになることが少なくありません。昨今のフランスの暑さに関する記事をまとめます。

ココがポイント

▼昨夏は各地で40度を超え、5,000人超が亡くなる

パリ五輪は東京以上の酷暑?研究者が改めて警告 (時事ドットコム)

▼2019年には、パリで過去最高気温42.6度を記録する

・パリで史上最高の42.6度観測 欧州の熱波ピーク迎える (AFP)

▼2003年は50年来の高温が襲い、フランスでは約15,000人が亡くなる

・2003年夏の熱波による欧州の超過死亡は2万人以上、健康被害対策が急務 (日経メディカル)

▼パリは欧州854地点の中で、熱波で亡くなるリスクがもっとも高い

・パリは熱波の場合、ヨーロッパで最も死者が多い都市とされています (Sortir a Paris)

エキスパートの補足・見解

こうした暑さが起こり得る中でエアコンなしの五輪が行われることについて、世界各国の反応は芳しくありません。日本やアメリカ、オーストラリアやイギリスなどは、自前でエアコンを調達することに決めたようです。

一方、開催国フランスは、選手村の建物のデザインを工夫して日差しを遮ったり、部屋に地下水を巡らせたりするなど、あの手この手でクリーンな涼しさを提供し、選手をもてなそうと努めています。

このご時世にエアコンがないとは何事かという参加国、いや、このご時世だからこそ二酸化炭素を減らす努力が必要だと主張する開催国。過酷な環境を強いられる選手たちが一番気の毒に思います。今まで以上に、選手たちへの応援に力が入る五輪になりそうです。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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