台風9号が鹿児島県枕崎市付近に上陸、日本海に入ってからのほうがより危険
台風10号の関東接近
令和3年(2021年)8月8日は、東京2020オリンピックの最終日で、男子マラソン、自転車トラック、新体操、女子バスケットボール、女子バレーボール、女子ハンドボール、男子水球の決勝と閉会式が行われました。
この日、台風10号が関東に接近してきましたが、男子マラソンは東京の暑さを避けるという理由で札幌開催でしたし、その他の競技は屋内(自転車トラックのみは静岡)で行われていました。
そして、台風10号の中心付近の強い雨雲は千葉県にかかりましたが、東京都などには入ってきませんでした(図1)。
そして、閉会式は、台風10号が足早に過ぎ去ったあとの、20時からの開催でした。
色々なことが重なり、加えて開催期間中に台風8号と台風10号という2つの台風が接近した東京2020オリンピックでしたが、関係者の並々ならぬ努力で、ほぼ予定通り開催できました。
台風10号とオリンピックに注目が集まっているとき、中国・華南に上陸し、台湾海峡を通過して台湾で熱帯低気圧に衰えるとみられていた台風9号が東シナ海へ入ってきました。
衰えなかった台風9号
台湾は、標高が3997メートルのユイ山(新高山)をはじめ、3000メートル以上の高峰が133峰もあるため、台風がまともに上陸すると、すみやかに衰える傾向にあります。
しかし、台風9号は、華南から早めに台湾海峡に移動し、北東進して台湾北部をかすめただけで、衰えないで東シナ海に入ってきました。
東シナ海の海面水温は、台風が発達する目安となる27度以上であったため、台風9号は衰えるどころか、少し発達しながら九州に向かっています。
そして、8月8日20時すぎに鹿児島県・枕崎市付近に上陸しました。
今年2個目の台風上陸です(表)。
その後、台風9号は豊後水道を北上し、中国地方を通って日本海に向かう予報となっています(図2)。
台風の予報は最新のものをお使いください。
そして、24時間後の8月9日21時は日本海で温帯低気圧に変わり、10日にかけて発達しながら日本海を北東へ進む見込みです。
西日本では土砂災害や高潮に厳重に警戒し、西日本から北日本では、暴風や高波、土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に警戒してください。
ここで注意すべきは、日本海の海面水温が異常に高いことです。
北からの寒気が、台風が持ち込んだ暖気の下に入り込んで低気圧として発達するのですが、日本海の海面水温が非常に高いことから下層から水蒸気の補給を受け、低気圧が急発達する可能性があります。
鹿児島県枕崎市に上陸した時の台風9号の中心気圧は988ヘクトパスカルでしたが、日本海の低気圧の中心気圧は980ヘクトパスカルの予報です(図3)。
図3で、日本海にある低気圧が台風9号から変わった低気圧、日本の東海上の低気圧が台風10号から変わった低気圧です。
日本付近の等圧線の間隔が非常に狭く、広い範囲で強い風が吹くと予想されています。
また、雨も北海道から九州まで100ミリ以上、所によっては200ミリ以上という大雨が降る予想です(図4)。
台風から温帯低気圧に変わったといっても、強い風や雨に対して油断することができません。
タイトル画像、図1、図2、図4の出典:ウェザーマップ提供。
図3の出典:気象庁ホームページ。
表の出典:気象庁ホームページに筆者加筆。