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カジノ法案、今期通常国会での成立は不能。臨時会に見送りへ

木曽崇国際カジノ研究所・所長

ということで、以下のように結論がでました。以下、産経ニュースよりの転載。

カジノ法案 今国会成立見送りへ

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140605/stt14060500470002-n1.htm

自民党は4日、カジノを中心とした複合型リゾート施設(IR)の整備を政府に促す推進法案について、今国会での成立を見送る方針を決めた。公明党や民主党が治安悪化などの懸念を理由に成立に慎重姿勢を崩さないためで、衆院で継続審議扱いとする。集団的自衛権の行使容認をめぐり協議を進めている公明党に配慮する狙いもある。[...]

ま、先月末に衆院ですら審議が始まってなかった時点で今期通常国会での法案成立が不可能なのは確定だったのですけどね。今後の論議の焦点は、せめて審議入りくらいはできるかどうかということになります。ちまたでは「どうせ成立しないのなら、いっそ審議入りもしない方が良いのでは?」なんて主張する議員なんかも出てきているようですが、それじゃ先期臨時会で法案提出されてから何一つ進捗しなかったってことになるじゃないですか。そこは議員の面子にかけても、少しくらいは進捗の姿を見せてください。その点は切に、お願い申し上げます。

一方で会期末になってくると毎回書いていることですが、今年も冒頭から「今期国会で確実に成立する」なんて怪気炎を上げている人達がいらっしゃって、先月のNYセミナー出張の中で現地の投資家から「実は先日、他の専門家が来て『今国会で100%成立する』と断言して帰ったんだけど、オマエはどう思う?」とか質問されて、アメリカくんだりまで来てそんな恥をさらしてる人間が居るのかよ…と閉口してしまいました。いや、それが誰なのかまでは聞かなかったのですがね。

そもそも日本の一部のカジノ関係者は、それこそここ5年くらい「今期国会こそ確実に成立する」とかずっと言い続けているわけで、もはや「ノストラダムスの大予言」状態。先月、マカオで行なわれたアジア圏最大のカジノの祭典、G2E Asiaに参加した時、僕と同じく同イベントのアドバイザリーボードを勤める某氏などは、僕の顔を見るなり日本メディアがつい最近報じた「今期国会で法案成立か?」みたいな記事の英語版を引用しながら、「These guys are living in the another planet. (コイツ等、一体どこの星の話をしてんだ?)」とか皮肉交じりの冗談を投げかけてくる始末。あと、他の誰かからも「あれ!?日本ってカジノ合法化するのこれで何度目だっけ?」とかも言われたな(笑

もちろん彼らは僕がそんな適当な情報をメディアに振り撒いている張本人ではないことは知っていて、一部の人間が意図的に煽っているだけって事もシッカリと理解はしているのだけれど、とにかく「オオカミ少年」よろしく日本から発されるこの種の言説が国際的に全く信用されなくなっている現状であります。

ということで、あと数ヶ月もすれば、またどこからともなく「今期臨時国会で確実に成立」とかいう声が上がってくるのだろうけれど、個人的には非常に迷惑を被っているので、もうそろそろ止めて頂きたいなぁという事だけは明確に申し上げておくと共に、これを読んでいる皆さんはそういうヤマ師みたいな言説を吐き続けている人を軽々に信用してはいけませんよという事をお伝えしておきたいと思います。

国際カジノ研究所・所長

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。

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