己の外国人排斥感情を「オーバーツーリズム」で正当化する人達
以下のような投稿をXで見かけて、おもわずコメントしてしまいました。
この投稿主の方、登別温泉行きのバスが中国人観光客で溢れていた事により、「情緒もへったくれもあったもんじゃない」「日本人が日本を旅しているのに中国に来たような感覚になっているのよ。おかしいでしょう」と怒り心頭のようです。
一方で、この方は、この様な状況を指して「完全にオーバーツーリズム」と評しているワケですが、ここでオーバーツーリズムの正しい定義を確認してみましょう。
オーバーツーリズムとは、あくまで観光客の急増が地域住民の生活や自然環境、景観等に対して受忍限度を超える負の影響をもたらした結果のことを指す用語です。一方で、上記の方が言っているのは「日本人である私が気持ちよく観光できるように外国人を受け入れるな」という主張であって、それは本来的なオーバーツーリズムの定義とは全く異なるもの。この様に、最近のオーバーツーリズムの論議ではご自身に内在する外国人への排斥感情を「オーバーツーリズム」という用語で正当化しようとする主張が多くみられているという、とても残念な状況であります。
オーバーツーリズムという用語を「外国人観光客がー」という文脈で使いたがる方々は、まずもって日本人観光客が押し寄せて地域と軋轢を起こした「2013年湘南の海の家問題」など、オーバーツーリズムはけして外国人vs日本人を対象とした論議ではないということを知って頂きたいです。以下、当時の参考記事です。
【参考】荒れる湘南ビーチ「乱れる風紀」で鎌倉市×海の家・財界の攻防
https://www.sankei.com/article/20150503-TEOT3PI455LYNNRHGJDUNDG4BQ/