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アメリカ軍が極超音速ミサイルLRHW/CPSの飛行試験に成功

JSF軍事/生き物ライター
アメリカ国防総省より極超音速ミサイルの飛行試験

 6月28日、アメリカ国防総省は海軍と陸軍がハワイのカウアイ島のバーキング・サンズにある太平洋ミサイル試射場で極超音速ミサイルの飛行試験を実施し成功したと報告しました。出典:U.S. Department of Defense

  • LRHW : Long Range Hypersonic Weapon 米陸軍の極超音速ミサイル
  • CPS : Conventional Prompt Strike 米海軍の極超音速ミサイル

 アメリカ海軍の極超音速ミサイル「CPS」とアメリカ陸軍の極超音速ミサイル「LRHW」は極超音速滑空弾頭「C-HGB」が共通で、ブースターとなる2段式固体燃料ロケットもほとんどが共通です。異なるのは発射方式で、CPSは潜水艦からの水中発射を考慮してコールドランチ方式(ガス圧でミサイルを空中に打ち上げた後にロケットに点火)、LRHWはホットランチ方式(地上でロケットに点火)となっています。

 今回の実験は海軍の主導で陸軍が協力し、CPSとLRHWのAURでの「end-to-end」での性能に関するデータが取得されています。CPSとLRHWのAURという表現から、これは実機の飛行試験です。

  • アメリカ海軍:「この共通極超音速ミサイル飛行試験は、この能力の開発における我が国のマイルストーンとなる」
  • アメリカ陸軍:「我々の共同の努力を通じて、陸軍があらゆる潜在的な敵に対して優位性を維持できるようにする新しい装備を開発し、新しい防衛コンセプトを採用している」

※AUR : All Up Round : 発射可能な状態のミサイルの意味。

※end-to-end : 端から端まで、つまりこの場合は発射から着弾まで飛行データの取得。

アメリカ国防総省より極超音速ミサイルの飛行試験
アメリカ国防総省より極超音速ミサイルの飛行試験

アメリカ国防総省より極超音速ミサイルの飛行試験
アメリカ国防総省より極超音速ミサイルの飛行試験

 LRHW/CPSのミサイルの大きさは直径が34.5インチ(0.88m)と公開されており、全長の数字は公表されていませんが、キャニスターを搭載したトレーラー(全長13.8m)からの推定でキャニスターは約12mで中身のミサイルは12m弱と推定されています。そして今回の飛行試験で発表された写真のミサイルの直径と長さの比率も一致しています。

アメリカ国防総省より極超音速ミサイルの飛行試験
アメリカ国防総省より極超音速ミサイルの飛行試験

 クラムシェル型のノーズコーンの継ぎ目が見えます。この中にC-HGB(Common-Hypersonic Glide Body : 共通極超音速滑空体)が入っています。

アメリカ国防総省より極超音速ミサイルの飛行試験、比較用にC-HGBの公式概念図を挿入
アメリカ国防総省より極超音速ミサイルの飛行試験、比較用にC-HGBの公式概念図を挿入

軍事/生き物ライター

弾道ミサイル防衛、極超音速兵器、無人兵器(ドローン)、ロシア-ウクライナ戦争など、ニュースによく出る最新の軍事的なテーマに付いて兵器を中心に解説を行っています。

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